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[68-Ⅲ🐝🐝🐝]1機の飛行機の裏に
皆さんこんにちは‼︎ そして明けましておめでとうございます‼︎
航空機だけでは飽き足らず、乗馬も始めた、68回生Ⅲ期の阿部学生です。自動車の免許が最優先だと思いますが…
2024年も重〜い記事を沢山投稿していきますので、よろしくお願いします。
よくパイロットの記事で、『飛行機はパイロットだけで飛ばしているのではなく、多くの人のおかげで飛べている」という話を聞きませんか?
お客さんとして搭乗する際にも整備士やグランドスタッフを目にする機会があると思いますが、実際にはもっと多くの職種の方々が関わっているのです。
今回はとある1フライトを時系列で追いながら、パイロット以外の職種に注目していきたいと思います。
航大生なら「わかるぅ〜‼︎」となると思うのですが、最もハードと言われてる”午前フライトのウェザー担当で前段のエアワーク”という設定で行きましょう。
正直ナビゲーションの方がシンドイという人が多いのですが、帯広課程のナブは1度準備してしまえば同じ手順をこなすだけですので、諸元とか手順がいっぱいで頭も一杯になるエアワークにしたいと思います。異論は認めません‼︎
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午前ウェザーの朝は早い。時刻は6:00の5分前、部屋はまだ薄暗い。
意識が朦朧とする中、忘れ物が無いか最終チェックをしながら、フライトバッグを引っ張る。
ルームメイトのリョマチ学生はウエバラ担当(注;weight &balanceのことで機体や燃料・搭乗者の重量や重心から安全に離着陸ができるかどうかを計算する。帯広課程の後半ではExcelで行うため、やることはほぼゼロ)だ、気持ちよさそうに布団もかけずに寝ているぜ… 起こさないようにそぉ〜っとドアを開ける。
廊下を歩きながら窓の外を見ると雲ひとつない。ウェザブリ(注;ウェザーブリーフィングのこと)はネタが無さそうだ。山側のエリアだから、とりあえず風について言うか。
ブリ室(注;ブリーフィングルーム)に荷物を置いて場所取りをする。PCによっては気象庁のサイトやExcelが使えないから、ここから戦いが始まっている。
荷物を置くとそのまま印刷室に向かう。ブリーフィングで使う天気図を9枚印刷するのだ。
モエキ学生がプリンターの前で焦っている。どうやら紙を詰まらせてしまったらしい… 時間がないというのに…
そう言えば、この天気図も気象庁の人が作ってくれているからこそ入手できるんだよなぁ〜 ASAS(注;アジア太平洋の大まかな実況天気図、6時間毎に更新される)なんて26時に発表されてるんだもんなぁ…
①気象庁の人
ブリ室に戻ると6:15だ。ここから天気図に色を塗ったり、様々なデータを見ながら、何を話そうか考える。風と雲について言うことが多い。
ふと窓の外を見ると、大きくCABと書かれた車が誘導路を爆走している。滑走路の点検か… あの速度で点検って動体視力すごいよなぁ〜
②帯広空港のCABの人
そんな事をしていると、時刻は7:14、朝ごはんの時間だ。出遅れると長蛇の列で大幅に時間をロスする。今日は水曜日だからフレンチトーストか。フレンチトースト命のナオキ学生は今週も廊下を全力疾走して食堂へ向かっているわ…
③食堂の人
朝食をかき込むと、すでに7:35を過ぎている。ブリーフィングは8:00からである。まだWindy(注;天気に関してありとあらゆる情報を得られるサイト 課金すると更新頻度が上がったり、機能が増える)、とGPVのSSI(ショワルター指数のこと 大気の安定度がわかり、積乱雲の発生しやすさの目安)見てないや‼︎
この間に航空情報担当の班員がフライトプランを書いたり、エアワークのための空域を予約する。
しばらくすると申請が承認されるのだが、札幌ACCの人が確認しているようだ。
④札幌ACCの人
いよいよ迎えた8:00。ブリ室のドアを気にしつつ、PCのF5キーを連打する。最新のMETAR(注;空港の風や雲や視程の情報 基本的に1時間ごとに更新)を入手するためだ。
これをブリーフィング前に知るのと知らないのでは雲泥の差である。唐突に変わってると詰められ、フライト前に地獄を見る…
8:35、楽しい楽しいブリーフィングが終わるといよいよフライトである。航空情報の人は運管室でフライトプランを提出する。運管室の人がPCに入力後に各方面に共有されているらしい。
⑤運管室の人
それ以外の班員は機体へ向かい外部点検をする。前段なので内部点検もする。整備のJGASさんのお陰で機体はピカピカだ‼︎
⑥整備の人
エンジンをかけ動作点検も終わった。他の訓練空域を通るため④の札幌ACCに今のうちに許可をもらう。
『JA010C, on the ground of obihiro airport, we will cross HK2-7, then proceed to HK2-4, also leave your frequency』
帯広空港には専用のアンテナがあり地上でも札幌ACCとコンタクトできる。これを今やる事で離陸後忙しい時間のタスクが1つ減る。この後は⑤の運管室の人にカンパニー周波数で出発報告をする。
『10C,エアワーク訓練のためランプアウトします』
最後に帯広の管制塔に地上滑走許可をもらう。
『JA010C,at CAC, request taxi instruction, northwest bound』
ランプアウトするだけで大変だ…
⑦帯広タワーの人
滑走路脇でエンジンテストも終わり、いよいよ離陸だ。「パンッ、パンッ」、滑走路脇で空砲を撃っている。芝刈り後の虫を食べにカラスが集まっているようだ。バードストライクをしたら大変だ‼︎(注;もちろんエンジンに当たったりしたりしても大変だが、鳥衝突をすると機長は鳥衝突レポートを書かなくてはならない)
⑧バードマンの人
ターミナルの横では空港消防の消防車が待機している。万が一の時にすぐ駆けつけてくれる。
⑨空港消防の人
いよいよ離陸だ。飛び立つとあっという間だ。⑦の帯広タワーの周波数を離れた後は再び④の札幌ACCとコンタクトだ。そこで訓練空域への入域を報告する。
『JA010C, entering HK2-4』
その後はStallやSteep turnなどを行う。まぁ機体や風によって諸元が異なり、難しいことよ…
エリアを離れる際には再び④の札幌ACCに報告をする。管制官が変わったようだ。パイロットはしばしば管制官の声に惚れる。訓練が辛くても一気に癒される。
『JA010C, leaving HK2-4, good day‼︎』 思わずグッディなんて言ってみちゃう。クリスマスにはメリークリスマスって言うパイロットもいるとか…
パイロットと管制官の結婚とかもあるとか無いとか…
隣で教官があきれている… そうそう、教官もいなくては訓練生は飛べない。
⑩すごくすごい怖い教官
ちょっと早く帰りすぎたな、1回タッチン(注;タッチアンドゴー)するか
『JA010C, over nakasatsunai, 2000, request landing instruction, touch and go』
『チェックスター1です, 帯広VOR/DMEチェックのため離陸します。離陸後レフトターンで〇番のローパスを行います』
おぉ‼︎ チェックスターだ‼︎ しかも1ってことはJA701Gじゃないか‼︎ 最近導入されたばかりのすごくすごい機体らしい。他の機体よりちょっと大きめで、航続距離もグッと延びて…
危ない危ない、ものすごく忙しいトラフィックパターンでアツく語るところであった… 高度・速度・姿勢のクロスチェックと外部監視だ‼︎
帯広VOR/DMEの更新工事のための検査をしているようだ。これも自機位置把握のためになくてはならない施設ある。ちなみに飛行検査のパイロットは航大の元教官も多かったり(注;どちらも航空局の職員)
航大卒業の選択肢として飛行検査もあるらしい。最新鋭機とか見学してみたいなぁ〜
⑪飛行検査のすごくすごいパイロット
『OBIHIRO,12Cです,管制指示のため糠内2000でホールドしてます』
他の機体のポジションレポートだ、糠内V-REP(注;空港着陸のためのゲートみたいなもの)でホールドか、接近しないように気をつけなければ…
このように他のパイロットの通信も大切な情報である。
⑫思いやりのあるデキる同期
タッチン上手くいったなぁ〜 次はタッチン後ブレイクして中段に交代しよう。
このように空港周辺を飛べるのも地元住民の方々のご協力のおかげである。
⑬温かい地元住民の方々
再び離陸後、⑦の帯広タワーを離れて空中交代をする。
フライトは1人当たり1時間。それだけでクタクタだ…
4人乗り(注;5人までは乗れないことはない)の飛行機で交代するのは至難の技だ。コツは腕と脚の関節を2箇所くらい外すことだ。私は座布団を使ってるので、中段のリュウセイ学生に前席に残した座布団を投げてもらう。
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いかがだったでしょうか?パッと(注;旅行帰りの1時間でこの記事を書き上げています)考えてみただけでこんなにも多くの人が関わっています。どのピースが欠けても、1機の飛行機を安全に飛ばすことはできません。
“飛行機にかかわる仕事がしたい”読者の皆さんはどんな仕事を選びますか?
今回のブログは色々な仕事を自分で検索して、出会って欲しいので、敢えて写真を1枚も載せませんでした。
ファーストソロの時に色々とお世話になった管制官、大量のフライトプランを笑顔で受け取ってくれた運管室の方、顔が映るくらいピッカピカの機体を朝早くから提供して下さるJGASの方、地上走行すらままならなかった私を飛べるまで育ててくださった担当教官、そして辛い時も嬉しい時も共に喜怒哀楽した同期…
こんなにも異なる職種の方に支えられる仕事ってパイロットくらいかもしれません。ソロフライトでも決して孤独ではない。このような経験をしたい貴方はCACへ‼︎
書きたいネタはものすごくあるので、また気が向いたら投稿します。
このようにブログを書けるのも、読者の皆さんがいるからですね‼︎
⑭長文を読んで下さる読者の皆さん
[68-Ⅲ🐝🐝🐝]EZ DO DANCE!!
皆さん、こんにちは‼︎ 回転翼航空機も操縦してみたくなっている68-Ⅲの阿部学生です。
宮崎入校前にまた更新すると思っていなかったですよね⁈
更新しない訳ないじゃないですか‼︎ 今回は題名の通りTRFについて紹介したいと思います。
どういうこと⁈と思っている受験生の皆さん、親御さんに聞いてみてください。
…と言うのはウソで、TRFと言えば小室哲哉とサムですよね⁉︎(世代がバレる…)
なので “ルール・オブ・サム” サムの法則(⁈)について話してみたいと思います。航空業界の方ならよく使いますが、日常生活では聞いたことがないのではないでしょうか?
TRFの “SAM”、和を出す “SUM”関数、少しの”SOME”、ダジャレが “寒っ”、ではありませんよ〜
今回のテーマは “THUMB” です。
エアラインではSI単位系(m・kg・sなど)よりも、ft・NM・ktなどの単位を用いることが多いです。さらに同じ “長さ” でも、距離はNM・高さはft・飛行機の長さはin(インチ)を用いるなど単位が混在しています。
“Rules of Thumb” とはパイロットが様々な数値の単位換算(m⇄ftやkm/h⇄ktなど)を暗算で簡単にするために、近似値を出すことができる法則を作ったものです。
操縦中は様々なタスクが重なっていたり、練習機などの与圧されていない小型機では低酸素による判断力の低下などにより、小学生くらいの計算能力になってしまいます。そのため地上ではなんて事のない簡単な計算も間違えたりすることがあります。そのため1ftは0.3048mだから…とは考えてられません。
そこで登場するのが、m→ftなら『3倍して、その結果の1割を加える』、ft→mなら『3倍して10で割り、その結果の1%を加える』という”Rules of Thumb”です。
例えば3000mは実際、約9840ftくらいです。この近似式を用いれば3000×3=9000、1割は900なので、9000+900=9900ftとなり、60ftの差で約0.6%しか誤差がありません。ftからmも非常に誤差が小さいです。
飛行機乗った時に『ただいま高度33000ft、mに換算しますと10000mを順調に飛行しております』という機内放送を聞きますよね。旅客機なら機器ですぐ分かるかもしれませんが、”Rules of Thumb”を知ったあなたは、33000ft×3÷10=9900、1%は99、よって9900+99=9999m と暗算でもできますね‼︎
タイセイ学生、ついて来れてますか〜?
様々な “Rules of Thumb” が航空業界のバイブル「AIM-j」の11章の後半にも載っています。
では次は中級です。実例を用いて色々計算をしてみましょう。
また馴染みのある単位に変換できたら、身近なものに例えてみましょう。よく霞が関ビルや東京タワーに例えますよね?(また世代がバレる…)
もちろん今回の例題は、私たちが使う練習機SR22からの問題です。
まずこの写真をご覧ください。
後部座席から撮っているので画質が悪いですが、操縦中に用いるグラスコクピットの右側のMFDと呼ばれる、エンジン計器などメカニカルな情報が表示される画面(をバックアップモードで操縦に必要な計器も表示させた状態)の写真です。
このようにSR22は最新鋭の機体なので高度や速度、姿勢などの情報がアナログの機器ではなくて、計算されたデータとして1枚の画面に表示されるようになっています。そのため目の移動(クロスチェック)が少なくてラクになった他、計器の針の数値判読に脳の容量を使わなくて良くなっています。
という雑学は置いておいて、本題に参りましょう。
皆さんは航大オタクなので、瞬時にどれがどの情報か分かるとは思いますが、念のために説明しましょう。
まず画面が水色と茶色に分かれてますね。これが空と地面を表しています。そして黄色の山の形(漢字の八)のようなものの頂点が飛行機の姿勢を表しています。またそこに横の線が何本かあって、「10、20」と数値がありますね。これが昇降のpitch角を表しています。今は水色の所にあり、+10°の1/4の線に山の頂点があるので、+2.5°で上昇しています。ですがこの角度の単位(°)はみんな知ってますね… 変換しようがないです。
またその姿勢の表示の下に「065°」とありますが、これは機首が向いている方位を表していて、東北東ですがこれも(°)です…
紫色のダイヤ印(♦︎)が風を考慮した進んでる方向を表していたり、姿勢表示の上では機体の横方向の傾き(Bank角)が分かったり、様々な情報がありますが詳しくは入校してから習いましょう。(現職の皆様、機体が滑っていますが2回目のフライトの時なので許してください…)
では【問題1】
いま飛んでいる高度をmで表してください。
姿勢の表示の右側の縦の表示をみてください。「4480」とありますね。これがいまの高度になります。なお高さなので単位はftです。面倒なので4500ftということにしましょう。
ft→mなら『3倍して10で割り、その結果の1%を加える』でしたね。
4500×3÷10=1350、1%は13.5 1350+13.5=1363.5 大体1365mくらいでしょうか?
333mの東京タワー4つ分の高さですね。3776mの富士山の1/3強です。そう考えると低いでしょうか?
このようにftでは分からなくてもmなら実感がわきますね!
この調子でどんどん行きましょう♪
【問題2】
いま飛んでいる速度をkm/hで表してください。
姿勢の表示の左側の縦の表示をみてください。「147」とありますね。これがいまの速度になります。これはktという単位で1ktなら1時間で1NM(海里)進む速度です。
まず海里ってなんぞや?と困惑してしまいますね 1NMは1852mですが、そんなことを考えていたら目的地を通り過ぎちゃいます…
面倒なので150ktということにしておきましょう。
kt→km/hにはこんなルールがあります。先ほどより複雑ですよ‼︎
『2倍して元の値の15%を引く』
150kt×2=300、150の15%は22.5、300-22.5=277.5 大体280km/hくらいでしょうか?
これは最高時速285km/hの東海道新幹線くらいの速度ですね。エンジン1つの小型機と言えど中々に速いですね。
離陸時でも73kt(135km/h)と在来線特急の最高速度(130km/h)並の速度を出しているんです。それで幅が45mしかない滑走路を滑走するなんて… ママチャリ(最高速度20km/h)の次にSR22を操縦した中の人は、離着陸時に生きた心地がしませんでした…
【問題3】
帯広空港から直線距離でどのくらい離れているかkmで表してください。
これはどこを見たらわかりますかねぇ〜?
まず左上には「109.65 OBE」とありますね。これがDME(Distance Measuring Equipment)という装置に入力した周波数で、これをセットすることでOBE(帯広空港)からの直線距離(正確には上空の機体までの斜距離)がわかります。
下の円の左側に 「DME NAV1 109.65 18.3NM」とあるので18.3NM離れていることがわかります。斜距離なので地図上の距離はもう少し短いですが、18NMとしておきましょう。
このルールは… 残念‼︎ 載っておりません‼︎ ひっかけ問題です‼︎ 1NM=1.852mなので計算してくださーい。
全てが載っている訳じゃないんですよね… ちなみに計算すると33kmくらいです。
東京から千葉くらいまでの直線距離(32km)くらいですね。
【問題4】
エンジンのオイルの温度を℃で表してください。
エンジンオイルの温度ってなに⁈ ネタ切れなの⁈ という声も聞こえますが、静かに解いて下さいね〜
左側の欄に「Oil ℉ 178 」とありますね。これが温度です。いわゆる華氏ですね。
このルールは『32を引いて半分にして、その1割を加える』です。難しすぎるとか言わないでください。
(178-32)÷2=73、1割は7.3なので、73+7.3=80.3 約80℃でしょうか?
コーヒーを淹れるのにちょうど良さそうな温度で、お湯の沸騰の温度より低いんですね〜
ちなみに左側の欄の1番下に「EGT ℉ 1315」とありますが、これが排気のガスの温度で当てはめると、700℃くらいです。
タバコとかの温度くらいでしょうか?ラジウムの融点くらいでもあります。(多分伝わりにくい…)
他にも各速度で、着陸の際に3°の降下角度を保つためにはどのくらいの降下率をすれば良いのか?や、30°のバンクを入れた時にどのくらいの旋回半径になるのか?など様々なものがあります。
皆さん、タイセイ学生、ついて来れましたか〜⁇
結局、東京タワー4つ分の高さを東海道新幹線の速さで飛んでましたね。
先ほどの写真には燃料量やエンジン回転数、風の情報など様々なデータが盛り沢山なので、残りはお正月に自学自習しましょう。
ちなみに今回紹介したMFDはボタンで様々な情報に切り替えられますが、こんな独特なマップにも変えられます。これも勉強してくださいね。(ヒント:低空で飛行する時に非常に重要で便利です)
このように航空業界には様々な興味深いネタが沢山あります。
また紹介できたらと思います。
では、良いお年をお迎えください。
航大のSR22の前のA36ボナンザはアナログ計器だったみたいです。
自衛隊の初等練習機のT-7もアナログ計器です。
ちなみに電子機器が故障した場合の予備計器はアナログ計器ですが、膝元にあるので操縦がかなり大変です…
[68-Ⅲ🐝🐝🐝]空から帯広を見てみよう
『もしもし、そこのあなた。地面を歩く生活に疲れておらんか? たまにはわしらと一緒に、空から帯広を眺めてみるというのはどうじゃろう?』
こんにちは、68-Ⅲの阿部学生です。
読者の中には、このフレーズをご存知の方もいるかと思います。
これは某テレビ局で2008年〜2018年まで放送されていた、雲の妖精と一緒に空から日本中の自然や街並みを眺めながら、様々な発見をしたりする番組の冒頭のフレーズです。
私はこの番組が大好きで全話のダビングを持っています(笑)。
この番組がきっかけで空を飛んでいると言っても過言ではありません。
番組内の映像はヘリコプターからでしたが、今回は訓練の半年間で撮り溜めた画像の中から、1つのフライトを再現してみたいと思います。
写真を撮っておくことはとても大切で、航跡アプリと照らし合わせながら、計画とどのくらいズレていたのかや、著名な地点物標の実際の見え方を覚えるのに使います。
後席でも地図と睨めっこしながら乗ることで、他の班員のフライトタイムも有効活用しています。
これから載せる写真は、後席で外部監視をしつつ学習の用に撮ったもので、写真によって機体の登録記号もまちまちであること、内容は一部省略をしていることを予めご了承ください。
それでも莫大な情報量ですので心してお読みください。
では一緒にフライトをしましょう‼︎
それでは早速、空から…と行きたいところですが、空を飛ぶには知識が必要ですね。
簡単に帯広の空や飛行機についてご紹介しましょう。
私たちが訓練する帯広空港の周辺空域にはいくつかの訓練空域があります。それぞれ手頃な大きさに区切られており、失速のような高度や速度・姿勢を大きく変えるフライト(エアワーク)をする時には、訓練空域を予約して1エリア1機が使います。大きさとしては直線飛行で3分くらい飛べるくらいでしょうか? 高さは場所によって異なりますが、6000ft(2000m)程度となっています。
今回は激しい飛行はしない予定なので、エアワークの邪魔にならないように気をつけながら訓練空域を1周していきましょう。
今回皆様が乗る航空機は単発プロペラ機のSR22となっており、最大で4+1名乗れるようになっています。なお5人乗ると空中交代ができないので教官1名と学生3名の計4名で乗っています。
今回のような空域を1周するフライトは野外航法(ナビゲーション)訓練と呼ばれ、高度は3000〜5500ft(1000m〜1700m)程を150kt(280km/h)程で飛行します。
東京スカイツリーの2〜3倍くらいの高度を東海道新幹線くらいの速度で飛んでいる感じです。
私たちは地図と地上の物標を見ながら飛行する有視界飛行という方法で飛行するので、3000ft以外の高度は1000ft+500ftの高度(3500/4500…)を西向きと東向きで使い分けて飛行しています。詳しくは調べてみてくださいね♪
とまぁ、話し出すと半年かかるのでさっそく飛行機へ向かいましょう‼︎
飛行機がいっぱい並んでいますね〜
私たちは飛行機に向かったら、内外の点検を行います。
搭載物がきちんとあるか?、機体構造や機構に問題はないか?などを1つ1つチェックすることが法律で義務付けられています。(機体に向かう前には気象や重量バランス、航空情報なども確認しています)
それが終わると搭乗して、朝ドラでやっていたように『Circuit breakers-all in』『Seat and seat back-adjust』と100項目以上の点検をしながらエンジンをかけます。
エンジンをかけ終わると、各方面に無線通信を行います。実際はイニシャルコンタクトと呼ばれる、「こんにちは私の名前は〇〇です」というような通信設定を行いますが、飛ぶ前に日が暮れてしまうので省略します。
札幌ACCに訓練空域通過の連絡
『JA010C, on the ground of obihiro airport, we will cross HK2-All area』
学校のカンパニー周波数への出発報告
『10C ナビゲーション訓練のためランプアウトします』
帯広管制塔への移動の許可
『JA010C, at cac, request taxi, northwest bound』
『JA010C, taxi to holding point runway35, QNH2992』
地上滑走の許可が出たら滑走路へ向かいます。
滑走路に着いたらいざ空へ‼︎
と言いたいところですが、飛行機そんな甘くありません…
滑走路脇でエンジンテストを行います。自衛隊の戦闘機でもラストチャンスのアーミングエリアとか言いますよね(中の人は電車と戦闘機も好きです)
準備が完了したら、帯広の管制へ報告し、離陸許可をもらいます。
『JA010C, at T-4 ready, request left turn departure』
『JA010C, left turn approved, runway35 cleared for takeoff』
では空の旅へと向かいましょう‼︎
実際はここまでブリーフィング開始から80分、飛行機に乗ってから20分ほど経過しています。
『Max power』『60kt、73kt rotation』『Positive climb, gear up』
飛んでからもひたすらやることは続いていきます。なお練習のため実際は動きませんが、ギアスイッチがあります。
左旋回をリクエストしたので、そろそろ旋回をしましょう‼︎
Runway35で左なので西方向ですね。
「帯広空港の横空港のそばにお城が⁈ 」
ズームをしてみましょう。
「豪華な建物ですね〜」「帯広には大金持ちが住んでるのですか⁇」
番組好きの私にはあの軽快な音楽が聴こえてきました…。CMが入りそうだ…
実はグリュック王国というテーマパークの跡地なんです。1989年〜2007年まで営業していた10万平方mを誇る施設で、町おこしのためにドイツをイメージした施設だったようです。現在でも建物や風車、観覧車などが残っています。
周辺は林なので地上からはあまり見えませんが、上空からだとよく見えますね‼︎
このように上空からの見え方はマップと違うので、そういう点に留意しながら地点評定をします。
それでは戻りましょう。
3000ftで帯広空港の管制圏を抜けるので、帯広管制塔へLeaveを報告し、上空を管轄している札幌ACCの周波数をモニターしましょう。
『JA010C, leaving control zone』
『JA010C, frequency change approved』
前方には小高い山、嵐山が見えてきました。ここには渡月橋はありません。
嵐山は遠くからでもよく見えるので、ナビゲーション訓練では発動点に使われます。
発動というのは航法の出発の基準となる点のことで、ここからの方位と時間を求めることで、次の場所へと正しく向かえるのです。
私たちは訓練のためにカンパニー周波数にポジションレポートというのを行います。
『JA010C, over arashiyama 10, maintain 3500, estimate shikaoi 18』
この際には訓練空域の使用機がいないか、周辺に他の航空機がいないかも確認します。
また発動点を過ぎたら測風というのを行います。
方位と時間というのはあくまでフライト前に風の予想を用いて計算した値です。実際の上空の風は飛んでみないとわかりません。実際に予想の方位で飛んでみて、地上の物標と見比べながら、どのくらい流されたから方位を何度変更しよう、という風に飛んでいきます。
この測風、言うが易し、行うが難しなんです…
測風ではきちんと測るために方位と高度を一定にして飛行します。これが難しい。この間も様々な報告をしたり、時間を記入したり、機器を確認したりします。もし3°ズラして1分飛行すると240mもズレてしまうんです‼︎
そのため意識はFly First。集中です。
さらには、測風で出た結果を元に新しい方位を計算するのが難しい‼︎ 所詮3ケタ±2ケタ程度の計算ですよ。それが操縦と上空の気圧の中では難しいんです… 間違えると明後日の方向に飛んでいきます…
帯広の西には日高山脈が、北には大雪山系の山々があります。比較的山の近くを飛ぶので、計器に集中してはいけません。外部監視です。といっても知らないうちに集中してしまいます。だから後席はきちんと外を見ておく必要があります。”後席も クルーの一員 アサーション”
『左前10時方向、トラフィック‼︎ 航大機、ほぼ同高度』
訓練機で輻輳しているので、近い時は1000ft未満の高度差ですれ違う時があります。TAWSというシステムで計器でも分かるのですが、結局は他機の管制と眼です。あとはカンパニー周波数を使用して、自分の位置と高度、インテンションを共有します。
しばらくすると帯広の市内が見えてきました。
空港周辺と違って建物が多いですね〜 住宅密集地域の周辺は避けましょう。
「くもじい‼︎、飛び立ってから随分経つのに市内にも滑走路があります‼︎、空港の周りにあんなに建物ありましたっけ⁇」
「くもみ、それは、帯広駐屯地のある十勝飛行場じゃよ」
「ピコパッ‼︎」
「帯広駐屯地とは陸上自衛隊の駐屯地で、ヘリコプター隊が所属しています。」
対戦車ヘリコプター、多目的ヘリコプター、観測ヘリが所属していて、よくフライトをしているのが見えます。
プロなオタクじゃないと迷彩塗装のヘリを見つけ出すのは至難の技です。
ちなみに1972年〜1981年には航空大学校もここにありました。
「また、あそこにも滑走路があります‼︎ 帯広にはいくつ滑走路があるんですか⁈」
「あれは自動車メーカーのテストコースじゃ」
帯広は広い土地があること、他と比べて気候が安定していること、山岳や平野など様々なシチュエーションがあることなどから各社のテストコースがあります。
世に出ていない試験車が走っているのをよく目にしますが、上空はあまり低高度で飛行しないようにしています。
そろそろエリアの北西の端なので東に向かいましょう。
上空からはあまり名所が無いので、地上から1枚。
では足を延ばして、空域の北東端を見てみましょう。
ここは陸別町です。ここまで訓練空域なのですが、空港からかなり遠いこと、山が多く自由に飛びづらいことから1回しか行ったことがありません。
地上には、りくべつ鉄道という素晴らしい廃線の保存車両施設があって、動態保存車がすごくあって、片道6km近くの距離を体験乗車できたり、体験運転ができたり… 危ない危ない、航大ブログでした…
少し行きすぎました。帯広空港が恋しいです… 空港に寄って南側にも行ってみましょう。
大体の景色はこのような風に見えます。読者のあなたはどういう所に注目しますか?
まずは持っている地図にある情報との共通点を探します。川や太い道路は載っていますね‼︎ あと橋なども。ソーラーパネルや山の稜線はあまり分からないので、気をつけます。あと建物も細かくは分からないので、街の大まかな形や川とかとの相対位置から探します。
街を見つけて、分かってもすぐは飛びつかない、先入観を持たないこと‼︎ 複数の根拠から疑いの目を持って考えます。ちなみにこれは橋の位置と川の分岐、運動場から本別だとわかります。
ではここはどこでしょう? 大きな鉄塔のようなものがありますね〜
垂直方向に高い建物はあまり地図に載らないんですよね… そいう時こそ川の分岐や道路の形…
答えは…載せません(笑) (本別から帯広空港に戻っていますが、寄り道してますよ…)
「くもじい、あんな所に巨大な時計が‼︎、きっと巨人や宇宙人向けなんですね‼︎」
「くもみ、巨人は東京にいるはずなんだが…」
「あぁ〜あれか‼︎ あれは十勝川温泉の花時計ハナックじゃよ」
北海道といえば泥炭由来のモール温泉が有名だが、十勝川温泉は代表するモール泉でその中心にあるのがこの花時計で直径18m、針だけで10m以上あります。それでもこの上空からだと時刻は分かりません…
上空からだと鉄道も見れます。中の人は特急の時刻が頭に入っていて、大体の当たりをつけて探していたとかいないとか…
線路は地図には載っていますが、列車が走っていないと木に隠れてほぼ見えません…
空港が見えてきました‼︎
おやおや一際大きい機体がファイナルアプローチ中ですね。
旅客機の着陸を上空から見えるのも、フライト訓練している特典ですね。基本的には訓練機よりも旅客機を優先した滑走路運用がされていて、訓練機は各上空のポイントで進路を譲ったり、着陸を待ったりしています。
皆さん、この写真からの情報それだけじゃないですよ‼︎ 航空大学校やグリュック王国と旅客機の着陸方向を見てください。
最初に離陸した時と逆方向になっているんです。滑走路の運用がRunway35からRunway17に変更になっています。
思い込みから逆の滑走路への進入のミスもあります。このように様々な所にアンテナを張ってフライトをしています。
帯広は内陸ですが南に向かうと海もあります。
港が見えてきました。
山側だと山を目標にしてまっすぐ飛べますが、海には目標がありません…
その場合地上を見たり、遠くの雲を見たりします。
では海岸沿いに西へ向かって行きましょう‼︎
「大きいサイコロが砂浜に埋まってます‼︎」
「あれは、トーチカと呼ばれる防御陣地じゃよ」
中に篭ってそこから攻撃をしてたようです。上空から見ると小さく見えますが、行ってみると巨大です。
「あれ⁈ また滑走路があるんですけど… 次はちゃんと滑走路です‼︎」
「ほんとじゃな〜 これは大樹航空公園じゃよ、ホリエモンロケットなどがココから打ち上げられているんじゃよ」
他にもJAXAのヘリの試験や防衛省航空装備研究所の赤外線センサーの無人航空機、火星探査用航空機の研究のための重気球の放球も行われています(こっちも趣味です…)。
滑走路自体は現在1000mで着陸自体は可能ですが、安全マージンを考えると厳しいです。しかし1300mへ延長の計画があるようです。
さて見えてきたのは広尾の港。
日高山脈の南端にあり、これより奥に行くと山脈なので、これより東で訓練を行なっています。
またこの付近は旅客機の進入経路になっているので、旅客機が近づく前に退避というものを行い、衝突回避をします。
ではそろそろ帯広空港に帰りましょう。
空港に帰る際には5つのゲートがあり、そこから滑走路までの経路が決められています。
そのゲート地点では2000ft(600m)、120kt(220km/h)で進入するのでそこに合うように計画しながら向かいます。
『JA010C, over sarabetsu 2000, request landing, full stop』
この後は場周経路に入りますが、そこでは各辺において通過したことを管制に報告します。
『JA010C, turning base』『JA010C, continue approach』
「あんな所に駅とオレンジの列車が‼︎、帯広空港までアクセス楽チンですね」
「帯広空港にはバスでしか行けないハズなんだが…」
「あれは幸福駅じゃよ。愛国から幸福までという切符が流行ったのを親御さんに聞いてみるんじゃ」
国鉄広尾線の駅で1987年に廃線になった中、今も2両の気動車と1両の除雪車が残されていて、空港に着いてまず行く観光地です。
と、まぁ観光している間も、パイロットはひたすらタスクをこなしています。critical eleven minutesというのがパイロット界ではあり、離陸の3分、着陸の8分は事故が起こりやすいフェーズで、特に注意力が求められます。ずっと操縦してて腕と脚が痛いなんて言ってられません…
『JA010C, runway17 cleared to land』
着陸許可が出ました。滑走路の延長線上にいます。ここからはパス・センター・エアスピードを必死に合わせます。少しでも不安を感じたり、スタビライズド(機体の安定)ができなかったら躊躇わずにゴーアラウンドを行います。
『JA010C, go around』
ゴーアラウンドをすると場周をもう1周回って着陸します。
『JA010C, runway17 cleared to land』
『JA010C, taxi to CAC, close my flight plan,ありがとうございました』
着陸後は誘導路を通って駐機場に戻ります。その間にもパイロットはやることが色々あります。
駐機後はエンジンを切り、最後に外部点検をして異常がないかを確認します。
これで1フライトが終わりです。1フライトでやることは大体300個くらいは裕にあります。これを覚えて行うのがパイロットです。
この後デブリーフィングやフライトログの記入をしたら全て終了です。今日の反省を元に明日はより良いフライトにします。
いかがだったでしょうか? 読み切りお疲れさまでした。
どのような大地を飛んでいるのか?どんなことに気をつけているのか?など少しでも伝われば幸いです。
これから帯広でフライトをする後輩の皆さん。最初はやることが多くて不安になったり、心が折れそうになるかもしれません。
でも50時間も飛べばある程度はできるようになります‼︎ 1人でも迷子にならずに空港に帰ってこれます‼︎
自転車の次に動かした乗り物が飛行機という、中の人でも帯広修了できました。
日高山脈は偉大だよなぁ〜 by私の担当教官
[68-Ⅲ🐝🐝🐝]えっ⁈ 帯広課程終わってる⁈
ブログが見れなくて禁断症状が出ていた皆さま、大変ご無沙汰しておりました。
最近ヘリコプターも操縦したくなっている、68-Ⅲの阿部学生です。
えっ⁈ 更新が少なすぎて覚えていないって⁈
しばらくの間、航大ブログがメンテナンス中ということで、更新をできてませんでしたが(メンテナンス前からだろっ‼︎ というお叱りを受けそうですが…💦)、無事に直ったようなので、遅ればせながら筆を取らさせていただきます。
今回も情報量無限大の記事を書きますので許してくださ〜い‼︎
遡ること1ヶ月、10/26に私たち26人全員が帯広課程移行科目進度審査(通称:ファイナルチェック)の実技試験を無事終えました。
なんと、1人も再審査となることなく終えることができました‼︎
そもそも帯広課程で試験って何やるんじゃ〜? っていうところから始めていきましょう。
帯広フライト課程では半年かけて50時間(色々あったらMax60時間まで)のフライトを行うのですが、前半25時間がphaseⅠ、後半25時間がphaseⅡとなっています。
その中でphaseⅠからⅡになる時に初度科目進度審査(通称:プリソロチェック)、帯広課程が終わった時にファイナルチェックを受けます。
それぞれの審査は審査官という資格を持っている、担当教官以外の教官と同乗して行うのですが、この審査を受ける前に、担当教官から試験を受ける技量があるというオッケーを貰う、技量認定という試験の前の試験もあります…
試験だらけじゃん… って思わないでくださいね。パイロットは引退するまで永遠に試験だらけらしいので…
それぞれのチェックを見ていきましょう。
プリソロチェックは名前の通りソロフライトをする前の試験で、1人で空港の場周(周り)を1周する能力があるかどうかを見極められます。
離陸前の準備から1人でやり、離陸後に場周を1周すると接地する寸前で「ゴーアラウンド」とコールされ、もう1周して着陸します。わずか20分程度のフライトですが、かなり緊張します。
この試験に合格しないと1人で操縦することはできません。
ちなみに実技試験以外にも筆記試験もあります。
プリソロチェックが終わると晴れてファーストソロフライトです。
離陸して場周1周して終わりなのですが、こういう時に限って色々起こるものです。いつもは班員含め4人搭乗していますが、ソロでは1人なので重心バランスや加速感が異なるため、いつもとエネルギーコントロールが異なります。まずそれが難しい…
そして頼れる人が一切いないので、まぁ不安になるんです。管制やったかな?、FLAP降ろしたかな?、前と近すぎたかな?、センター降りれるかな?気になったら終わりの始まりです…
詳しくはヒミツですが、色々キモを冷やし、管制官に応援されながらも一生忘れないファーストソロでした…
ちなみに管制との交信での自機のコールサインは「JA010C First solo」と付け、ある程度セパレーションをとった管制をしてもらえたり、着陸後拍手を受けたりします。(誰かは2ndソロで1stソロと言ってしまい2度目の拍手をもらっていました…)
そして気がつくとフライト残時間が5時間となりファイナルチェックがやってきます。
ファイナルチェックも2部構成になっておりまして、まず審査官と口述審査を行います。航空機システム、航空法、航空生理、航空図、範囲は無限大で、雑学王選手権のようです。
そこでオッケーを貰うと担当教官とフライトの最終仕上げを行った後、最後で最強の壁、実技試験です。
実技試験は今までやって来たこと、エアワーク(空中操作)、計器飛行、ゴーアラウンド、野外航法を2日間かけてツメられます。野外航法は1時間前にルートを教えられ、そこから地図やイメフラ、ログと言われる計画表を目にも止まらぬ早さで作り上げます。
これを無事終えてやっと帯広課程は終わったのです。
自家用操縦士相当の技量が帯広課程で身についているはずです…
半年間いろいろありました。
帯広空港以外の空港に冒険をしに行きました。中段だったのでいつもと同じようにタッチアンドゴーをしただけでした。
飛んでいたら天候が急変して、降りたら竜巻ができていました。
ファーストソロのお祝いで水をかけました。
滑走路でエアライン機に手を振ったら、パイロットが振り返してくれて恋をしました。
夜間飛行でいつもと同じ感じで飛んだら、経路がハチャメチャになりました。
フライト課程で何をするかは、いずれブログにできたらと思います。
ネタはいっぱいあるので気がついたら更新しているかもしれませんよ…
なんだかんだで終わりました。ハンパなく辛かったはずですが、終われば楽勝CACです。
さらば帯広CAC、また会う日まで。
どんなにつらくても、やまない雨はない。やんだ後には素晴らしい虹がかかる。この彩りを見るために、僕たちは一所懸命に、一心不乱に頑張っているのかもしれない。
[68-Ⅲ🐝🐝🐝] B班 航空大学校探検ツアー 〜帯広編〜 その2
みなさん、こんにちは‼︎
半日かけてシャツ・シーツ・タオルなどを大量に洗濯したのに、強風で竿ごと倒れて全滅した、阿部学生です。
今は窓全開&サーキュレーターで部屋干しをしています…
航空大学校探検ツアー 帯広編、学生寮エリアに入った所で終わっていましたね。
さて今回は残りのエリアを紹介していきたいと思います。
やってまいりました、ここは学生寮2階の調理室ですね。
今日も料理をしている人がいますね〜
何を作っているのでしょう?
話が脱線いたしました、それでは見学を続けていきましょう。
調理室の横にも道があり、そこを辿っていくと…
浴室があります。2回期約50人しかいないので少し小さめですが、綺麗で使い勝手が良いです。
ちなみにお風呂のお湯はフライトのある日の前日は必ず入れることになっていて、翌日のフライトに向けて英気を養う場になっています。
この脇にはシャワー室もあり、フライトの準備があって、ゆっくりしている時間が無い‼︎という人はこっちを使っています。
また洗濯室も併設されていて、緊張でビショビショになった制服などを洗濯します。
さて調理室まで戻り、反対側へ向かうと長い廊下があり、ずら〜っと生活部屋が並んでいます。
部屋は2階が先輩の8-Ⅱさん、1階が私たち8-Ⅲと別れています。
部屋の中は後ほど同期の部屋に入ってみましょう。
そのまま廊下を進んでいくとあるのが、娯楽室です。
この部屋ではみんなで週末にワイワイと飲み会やゲーム大会もしますが、主に使うのが毎晩の『エリア決め』です。
エリア決めとは、翌日のフライトで使うための訓練エリア(※1)や、touch and goの枠(※2)を各班に割り当てるイベントで、やりたい訓練科目をやるために、エリアやtouch and goの枠をかけて血みどろの闘いをします。
※1:空港周辺にはHK2-◯エリアという訓練エリアが複数設定されていて、姿勢や高度を頻繁に変化させる飛行をできる機体は安全のために、各エリア1機と決まっています。
どのエリアを取るかは、①エリアの上限・下限高度、②定期便の離着陸に合わせて待避が必要かどうか、③空港から近いかどうか、④地形や風向きによって揺れたり雲ができたりしそうか、⑤訓練に使える物標があるかどうか、など様々な事を考えています。
※2:touch and goとは離陸後、空港周辺を1周して着陸&離陸を繰り返すもので、約7〜8分に1回離着陸を行います。そのため多数の機体が飛ぶと空港周辺が大混雑してしまうため、同時にできるのは3機までと決まっています。
勝敗の付け方はただ一つ‼︎、3つのサイコロです。
3つのサイコロの出目の合計が1番多い班から好きな場所を選べます。
この闘いに負けると訓練が進まなかったり、訓練ができたとしてもすごい気流の悪い中で訓練することになります…
とまぁ、私たちの班はサイコロ運がないのでいい思い出はありませんが、この部屋の売りは他にあります‼︎
それは窓からの景色です。
私の部屋からも12秒で駆けつけられるので、飛行機好きの私は、珍しい機体が離着陸する際にダッシュで駆けつけます‼︎
余談ですが、中の人は飛行検査が大好きで、宮崎座学時代もそうだったのですが、今も検査が始まるとフェンス沿いに駆けつけ、ワクワクしながら眺めています‼︎
我が航空大学校も国土交通省所管なので、このブログを読まれている関係者の皆さん、新型の検査機の見学実習をしたいです…笑
などと言いつつ、娯楽室から斜め下を見下ろすと食堂を一望できます。
食堂を出ると大きな交差点があり左右と前には部屋が広がっています。
また近くにはアイロンスペースもあり、制服のシャツのアイロンがけをします。
お待たせいたしました‼︎ 8-Ⅲの部屋を覗いてみましょう‼︎
帯広は宮崎とは異なり2人部屋になっています。
部屋割りは同期が決めたのですが、それがまた上手すぎて気が合いすぎる人でペアになっています。
朝ドラと似ているでしょうか?
簡易的ですが机があるエリアとベッドがあるエリアが仕切られています。
私達、ハチサンのB部隊:12人がこの通称 “カンゴク” と呼ばれる小さい陸の孤島に辿り着いてから何日が過ぎただろうか?
狭いエリアながらも、私達は、『食事を作り、洗濯をし、明日も朝が来ることを信じてベットへ入る』というルーティーンを確立し、平穏な生活を手に入れつつあった。
夜には薄暗い中でも月明かりを頼りに水場にも行けるし、もうどこにいたとしても迷うことはなかった。
12人誰もが、この孤島のあらゆることを知り尽くしたと信じてやまなかったし、1人たりともそれに異を唱える者はいなかった。
また先発隊のA部隊やハチニーサンの各部隊も同じことを考えていた…
あの時までは……
島をのんびりと歩いていた時のことだった、背後から驚きとも歓声とも異なる叫び声が聞こえた。
声のした方に駆け寄ってみると、同じ隊のタイセイが腰を抜かした状態で奥を指さしている。
叫び声は島中に聞こえたのだろう、各自思い思いのことをしていたはずだが、まもなくパラパラと集まってきた。
『これを見てくれ…、謎の扉があるぞ…』タイセイは震える声で言った。
恐る恐る、指をさした方をみると、晴れているはずなのにそこだけ妙に薄暗く、奥には大きな扉があった。取っ手には太い文字で “徴罰房”と書かれた札がぶら下がっている。
『昨日まで、ここに扉なんてあったか?』『懲罰房ってどういうことだ?』『何か知ってるやつ、いるか?』
みな口々に疑問文を並べるのだが、誰一人この扉について知っている者はいなかった。
好奇心旺盛なタクヤが扉に近づいて覗いてみたが、中の様子を窺い知ることはできなかった…
『とりあえず作戦を立てよう』
リーダーシップのあるリョウマの一言で皆、我に返り後ろ髪を引かれながらも撤退した。
人間とは実に愚かな生き物だ。一度気になってしまうと、もうそのことしか考えることができない…
“知らぬが仏” とはよく言ったものだ。
翌日は朝から緊急の会合が開かれた。
誰が中を探るのかという内容であったが、誰も手を挙げない。
となると流れは既に決まっている、渉外担当の私の流れだ。
元々部隊で広報活動をやっていた事もあり、渉外も任されている。
『頼んだで‼︎』
調子がいいソウタの一言で確定だ。
難航すると思われていた、扉の奥とのやりとりであったが、昔からやっていたブログ “きっと空へいく” を通して意外にもすんなり話がついた。
どうやら、あの扉の奥にも別の世界が広がっていて、部屋があるらしい。
ただ我々のような男子は、あの扉を越えて1歩たりとも入ることはできない、それがこのカンゴクでの掟のようだ。
そのことを部隊の定例会で話すと、物好きなヒロシはかなりガッカリしていた。部隊の中で一番、中に入りたそうにしていたもんな…
『ガッガリするのはまだ早いぞ。私がそれで諦めると思うか〜?』
私はニヤリとしながら、隠し持っていた写真を並べた。
実は中の写真を入手していたのだった。
扉の向こうの世界は、洗濯機・乾燥機・洗面所・お風呂が1ヶ所にまとまっていて、こっちの世界よりも綺麗で快適そうだ…
我々は月明かりだけで水場に行っていたというのに…
“知らぬが仏” とはよく言ったものだ。
このように女子寮もあり、圧倒的に充実した設備で男女問わず過ごしやすい環境が整えられています。
紹介に協力して頂いた8-Ⅱさん、そして先輩方ありがとうございます。
では外に出てみましょう。
テニスコートなどもあり、今はスポーツはできませんがグラウンドの跡地もあります。
今は使えないグラウンドをなんで紹介するの?とお思いでしょう。
その理由はたった1つ、飛行機がすごく良く見えるからです‼︎
割と頻繁に駐機機体が変わるので、何度行っても新しい機体が見られ、個人的No.1癒しスポットです。
また奥には空港のエプロンも見られるので、旅客機もバッチリです‼︎
最後に紹介したいのが、グラウンドのそば、体育館の横にある農場、通称;航大農場です。
しばしば先輩方のブログにも登場したこの農場、私たちの中からも自給自足生活を目指し始めた勇者が‼︎
これから帯広も本格的な夏を迎えます。航大農場、定期的に見ていきましょう‼︎
2回に渡ってお届けした、航空大学校見学ツアー 帯広編 はいかがだったでしょうか?
寮での生活は朝ドラの中くらいでしか分からなかったと思うので、今後受験や入校をされる読者の参考になれば幸いです。
とにかく言えることはただ一つ、『住めば都』です。
次は何をお届けしようかなと思う今日この頃、この辺で失礼いたします。
私たちはまだまだパイロットへの道のりを歩み出したばかりだ。
フライトの全てが新鮮だし、教官はいとも簡単に操縦しているように見えるのに、自分でやってみると、やろうと思っているのに、面白いくらい何にもできない。
私たちは無力だ。
飛行機の上には分厚いどんよりとした雲が広がり、狭い狭い範囲を飛ぶだけでやっと…
雲の上には本当に青空が広がっているのだろうか? 私たちは雲を抜け、その青空とやらにたどり着けるのだろうか?
今の自分にはその上の未来が見えてこない…
でも僕らはその未来を信じて進み続けるしか道はない。決してくよくよして歩みを止めてはならないのだ。
分厚い雲にもいつか隙間ができる、明日の自分は今日の自分よりもきっと進んでいる、そう信じて今に全力を尽くそう。
[68-Ⅲ🐝🐝🐝] B班 航空大学校探検ツアー 〜帯広編〜 その1
みなさん、こんにちは‼︎
バスで最寄りの中札内村に行って、食材や飲み物を10kg以上買い込んだのは良いが、帰りのバスが土日運休に変わっていたのを知らなくて、バスが無く、泣く泣く寮まで12kmを歩いて帰った、阿部学生です。
相当昔の話にはなりますが、私たち8-Ⅲが宮崎座学生時代に投稿した、宮崎本校の探検ツアーの記事を覚えておりますでしょうか?
その1
[68-Ⅲ???]航空大学校探検ツアー その1
その2
[68-Ⅲ???]航空大学校探検ツアー その2
その3
[68-Ⅲ???]航空大学校探検ツアー その3
今回は第2弾として、私たちの本拠地、そう‼︎ 帯広分校編をお届けしたいと思います。
朝ドラ内でも、机の下に隠れたときに恋が芽生えた食堂や、入校直後にプロシージャを練習したFTD室、寮の部屋などが沢山出て来たので、実際はどんな感じなのか気になる方も多いのではないでしょうか?
(ちなみに航大生はあの朝ドラで航大の知名度が一気に上がったので、すぐに朝ドラを使って色々説明しがちです)
と、前置きはこのくらいにしておいて、では探検に出かけていきましょう‼︎
ここが帯広分校の正門です。宮崎本校の時は学生用の裏口がありましたが、帯広はここ1ヶ所なので、外出時もここを使用します。
ちなみに朝ドラでは宮崎本校の正門風景もここでした…
GWには朝ドラの聖地巡礼で記念撮影をしてる方々も見かけました‼︎ ぜひ航大を広めてくださ〜い。
ちなみに校舎に向かって左手を見ると…
砂利道が続いています。もう何回目か分かりませんが、朝ドラでは、水島学生が地元に帰る際に同期に別れを告げ空港へ向かった道です。
実際ここを真っ直ぐ進むと、空港まで外周をぐるっと周らないといけないので、9.5km歩く必要があります。(笑)
空港に行く際には反対側へ向かいましょう‼︎
ということは置いておいて、禁断の敷地内に入ってみましょう♪
このモニュメント⁈の脇を通ると見えてくるのは…
くの字に折れ曲がった本庁舎が見えて来ました。なぜこのように曲がっているのか分かりませんが、本庁舎を含め建物内には至る所に曲がり角があります。
ちなみに上にある管制所のような所は宮崎にもあった運管室です。
駐機場から出る際、訓練空域に入出する際に連絡をして、様々な情報をもらう、航大のまさしく管制塔です。
左を見ると本庁舎に繋がった建物が…
これは学生寮です。
この正面玄関は職員専用で、入校時しか使わないのですが、今回は特別に入ってみましょう‼︎
ここで外部の人は受付をするらしいです。
また学生の荷物も平日はここに届き、週番(日直みたいな)が寮まで運びます。
正面を見ると…
正面には健康管理室(いわゆる保健室)と分校長室があります。健康や薬の使用についての相談する際はこちらへ‼︎
ではまず右側に進んでいきましょう‼︎
進んでいくとあるのは…FTD室です。
いわゆるフライトシミュレータです。
エアラインにあるようなモーション付きのシミュレータではありませんが、実機でできないような緊急操作をしたり、実機が使えないときに使います。
今の時期は天候が悪い日も多いので、大人気で予約を取るのが大変です…
余談ですが、FTDの機器の配置は帯広にある機体(G5)とは少し異なっていて、宮崎にある機体(G6)と同じになっています。
そのため初めはこの配置の違いに苦戦します。
FTDは2機あるのですが、MIYAZAKIとOBIHIROと愛称がついています。
ではもっと校舎を奥に進んでいきましょう。
すると一番奥には…
体育館が‼︎
ここでは主に体育の授業を行います。
あれっ⁈ フライト学生ってフライトだけじゃないの⁈と驚かれた方もいるでしょうか?
そうなんです、フライトだけじゃなくて、座学や体育などの授業がギュウギュウに詰まっているんです。
体育ではバスケットボールとフットサルを行います。(かなりハードなので翌日には全身筋肉痛です)
さすがは北の大地、この時期、床には大量の…、自然が豊かですねー
私は苦手なので、逃げるように急ぎ足で2階へ向かいましょう。
2階にはこんなトレーニングルームもあります‼︎
また座学で使う部屋が並んでいます。
他にも教官室や印刷室、運管室などがあり、フライトの際はいろんな部屋を行ったり来たりします。
また逆の端にはブリーフィングルームがあります。
ここでは航空法73条の2及び航空法施行規則164条の15にある機長の出発前確認を行います。
フライトの約1時間前に集合して、①気象、②搭乗者の重量分布、③航空情報を共有します。
学生の中にはフライト前に既にここで気を落とす人もいるとかいないとか…
本庁舎にいると日曜なのにフライトを思い出すので、学生寮に移動しましょう‼︎
本庁舎と学生寮は繋がっているので、2階にいても1階にいても、そのまま移動できます。
そのため学生は本庁舎でも回期のスリッパで移動します。(宮崎時代にスリッパに色々お絵描きした人は恥ずかしい思いをするので要注意です)
2階を移動するとます見えてくるのが、調理室です。
…といきたいのですが、長くなってきたので、今回はここまで‼︎
次回は学生寮を紹介します。
私たちフライト学生はフライトができる天気が続く限り毎日フライトをします。
フライトをする度に、自分の無力さに落ち込み、地上で見た理想との差に絶望し、先輩方のように空を1人で飛べるのかと不安になり、永遠に暗闇が続くように感じる日々。
でも夜が去り朝がやってくるように、いつか光が差すと信じて、無我夢中で勉強に励んでいます。
それでも完璧にできないフライト…。1時間、また1時間と近づくソロフライト…
でも暗闇の中でふと空を見上げると、数え切れないほどの星が輝いていました。
暗闇だからこそ星が見え、それに向かって前に進めるのかもしれない。
暗闇にいることを楽しみ、今できる限りのことを全力で頑張らなくちゃ‼︎
[68-Ⅲ🐝🐝🐝] B班 鳥の偉大さ
???なのに部屋に2cm超えのハナバチが出て、大騒ぎをした阿部学生です。(すごい羽音で帯広の洗礼を受けました…汗)
早いもので帯広に入校して1週間が過ぎ、B班もいよいよ地面を離れる時がやってきました。
いよいよフライトが始まったのです。
『フライト』って聞くと、な〜んだ、空飛ぶだけじゃんと思うかもしれないですが、パイロットを侮るなかれ…
ハンパなくやることが多いのです‼︎
パイロットのタスクはフライトをする数時間も前から始まっているのです。
というのも前回お話しした、航空法第73条の2及び航空法施行規則第164条の15にある『機長の出発前の確認事項』というもの中には6つ確認事項があります。
それらはフライトをする前に責任を持って確認をするのですが、その中のうち『当該航行に必要な気象情報(通称:ウェザブリ)』『離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布(通称:ウエバラ)』『国土交通大臣が提供する情報(通称:ノータム)』の3つはプレブリーフィングという飛行前のミーティングで学生それぞれが準備をし、機長である教官の前で説明をします。
ノータムは、フライト中に航行の支障になるものや他の訓練機の状況、エアライン機の状況などを調べます。
ウエバラは、学生と教官の体重や荷物、燃料などから飛行機自体の重心の位置を出発前、離陸時、着陸時の3つのフェーズで調べたり、離着陸で滑走路をどのくらい使うのかを考えたりします。
そして準備が最も重いと言われるのが、ウェザーです。様々な天気図や空港の気象通報を見ることでフライトができるのか、できないのか、できる場合でも注意することは何かなどを考えます。ノータムやウエバラはほとんど前日に準備ができるのですが、ウェザーは最新の情報を用いて考えるので、できるのは朝6時以降‼︎ 毎回時間との勝負です‼︎ しかも毎日毎日状況が違うのです…
午前フライトになったら最後、8時にはブリーフィングが始まります。(なお1週間ごとに午前と午後が入れ替わります)
ちなみにこれ以外にも飛ぶ前にはアルコール検査だったり、訓練の空域を取ったり、フライトプランを作ったり、課目を覚えたりと、もうお腹がいっぱいです…
そしてブリーフィングを潜り抜けると、空へ飛びます‼︎
…と言いたい所ですが、まだ飛べません。
この後機体の整備状況をチェックしたり、機体の内部・外部の点検をした後に、飛行機の電源を入れて数多のチェックをして、∞時間が経過後やっと滑走路に進入、離陸になります。
ここまでくればあっという間、特急列車くらいのスピードで機体が浮き、瞬きを3回くらいすると東海道新幹線くらいの速度になって巡航になります。
そして3回くらい深呼吸をして気がつくと、訓練が終わって航大のエプロンに戻っています。
その後はデブリーフィングという振り返りをして、課題を復習して、身につけると1回のフライトが終わります。
なお平日は晴れていたら毎日訓練をするので、またフライト準備が始まります。
とまぁパイロットってスゴイでしょ‼︎ とたいそうな話をしてきましたが、実はB班はGWがあるので、まだ1回しか飛んでないんです…
しかも初回は完熟飛行という慣れようね〜というフライトです。
このような感じでB班もA班に遅れること2週間、パイロットの卵と名乗れるようになりました。
北の大地へ来て1週間、あっという間に空を飛んだ。
鳥のように綺麗には飛べなかったけど、空から見た景色はいつもよりちょっぴり綺麗だった。
そして1機が飛ぶために多くの人が関わって、機体の下には多くの家々が並び多くの人が暮らしている。
絶対にミスが許されない仕事だと身を持って感じた。
早く卵からヒナになり、ひとり立ちし、悠々と飛ぶ鳥になりたい。
[68-Ⅲ🐝🐝🐝] B班 はじまりの速度
航大ブログの読者の皆さん、大変お待たせいたしました‼︎
航空大学校の公式SNSで紹介されたので、8-Ⅲブログを初めて見たという方もいらっしゃるでしょうか?
世界一ツウな(⁈)航大情報を発信する私がいるB班が、A班に遅れること2週間、いよいよ帯広にやってまいりました。
これからはフライト学生としてより深い航空についてのお話をできたらと思いますのでよろしくお願いします‼︎
さて私は入校当日の朝、航空機で帯広に着いたのですが、待機期間に勉強した地上目標を見つけようと血眼になって探したのは言うまでもありません…
読者の皆さんの瞳には、私たちの成長は映っていますでしょうか?
B班の12人は月曜日に帯広分校に入寮して、火〜金の4日間で、
⓪荷ほどき
①オリエンテーション
②FTD(フライトシミュレータ)実習×2回
③実機実習
④CRM(※1)の授業
⑤先輩からの各種フライトに関する業務(※2)の引き継ぎ
⑥先輩や同期A班のウェザーブリーフィングの見学(※3)
⑦健康面談
⑧フライトのための地図(※4)などへの必要情報の記入
というタイトなスケジュールをこなしました。
※1:Crew Resource Managementの略で安全な運航を保つためにコックピット内での全ての力を使うために、事故例などを用いてどうすれば良いのかなどを考える授業。宮崎座学課程から仙台フライト課程まで定期的にあります。
※2:日番と呼ばれ、当日の天気図やフライトスケジュール・航空情報を印刷したり、寮のお風呂を入れるなどの日替わりの業務を行います。
※3:航空法第73条の2及び航空法施行規則第164条の15にある、機長の出発前の確認事項の中に『当該航行に必要な気象情報』というものがあり、様々な天気図やMETAR(飛行場の天気の現状を示した文章)などを用いて、訓練の実施可否について説明をします。めっちゃ難しい。
※4:航空法第59条及び航空法施行規則144条の2において、航空機の機内において備えつけないもののうちに『飛行の区間、飛行の方式その他飛行の特性に応じて適切な航空図』という条文があります。帯広課程の初めでは空港周辺の限られた訓練エリアにおいて訓練するため、航空図ではなくグリッドマップという、訓練空域や安全に訓練できる標高、地上の地図が描かれたものを使用します。
なんだかんだで気がつけばもう最初の週末を迎え、週明けにはいよいよ初フライト‼︎ ということで、ウェザブリーフィングなどの準備・プロシージャの確認・訓練計画の作成と山のようなタスクがありもう何からやればいいか分かりません…
そしてたどり着いた答えが…
委員長のブログにもあったジンギスカン決起集会‼︎ そして寮では歓迎会‼︎(される側)
北海道の食を制して、北海道の空も制したいと思います‼︎
A班・B班みんなでワイワイたわいのない話をしていると、やっぱり8-Ⅲという存在は心の故郷のような気がします。
例え、はじまりの速度が違くても、どんなことがあろうとも、どこで何をしていようとも永遠に27人で8-Ⅲで、1人1人の心の中に8-Ⅲという故郷があるから、どんなに大変で辛いことでも頑張って乗り越えられる。
A班が当たり前のようにフライトをこなしていて、自分たちも同じようになれるのかと不安が溢れ眠れない夜でさえ不思議だね、楽になるんだ。
逆光で見えない未来に、傷ついたって擦りきれたって構わない、走っていくんだ‼︎
っと締めたいところですが、教官に8-Ⅲは遊んでばかりだなぁ〜と思われたら困るので、ちゃんと勉強してますというところを最後に載せておかなくては…(汗)
自作で色々なオリジナルグッズを作る私のユニークな勉強道具を最後に紹介します。
教官‼︎ ちゃんと待機期間も今も勉強しています‼︎(笑)
とまぁ、これでフライトも色んな意味で安心できそうなので今回はここまで…
委員長の更新スピードに追いつける気はしませんが、ぼちぼちと更新していきますのでお楽しみに〜
[8-Ⅲ🐝🐝🐝] A班 入寮1日目
こんばんは!
10ヶ月の待機期間を経てついに本日帯広に入寮した68-Ⅲ 伊藤委員長です❗️
今朝は5時に起きて羽田から帯広空港に向かいました。✈️
なんとCAさんには航空大学校の学生であることを見破られていました!
この時期にフライトバックで帯広に行く人は目立つのかも知れないですね、、、
帯広上空から見える景色は一面の畑‼️
そしてランディング!
宮崎空港と違って、ターミナルと同じ側に航空大学校がありました。
着いて早々ですがいきなり!
明日はシミュレータ❗️
そして週明け月曜日からフライト‼️
初めてのシミュレータ、、、
それは待機期間に暗唱したであろうプロシージャ(20分ほどの呪文)を担当教官の前で披露する場だとか、、、
私A-1班の担当教官は回期主任の青木教官!
月曜日はいきなり着陸を経験させていただけるようです‼️?
8-1の先輩方も8-2さんもいい方たちばかりで寮生活は楽しくなりそうです。
寮の部屋の案内も今後していきます!
今日はプロシージャの確認をして明日に備えます!
[68-Ⅲ🐝🐝🐝] サイカイ
長かった冬が終わり、桜も咲き始め、気がつくと、はや3月中旬。卒業による別れや入学による出会いの交差点に立っている読者の方々もいることでしょう。
私たち68回生Ⅲ期も昨年の6月から約10ヶ月の待機期間をまもなく終え、久しぶりに同期と“再会”し、航大でのカリキュラムが“再開”します。
そう‼︎ 真のパイロットへの登竜門、帯広でのフライトが始まるのです。
改めまして、大変ご無沙汰しておりました、朝ドラのおかげでバイト先で航大について伝えやすくなって嬉しい、阿部学生です。
私たち8-Ⅲは3/1から正式に帯広フライト課程へ入校となり、今はそれぞれの家からオンライン授業を受けています。これからは週に数回のオンライン授業を約1ヶ月強受けたのち、8-Ⅲの27人は約半分ずつに別れ、来月2回に分けて帯広キャンパスへ向かいます。そして現地でしかできない講義を数日間受けた後、帯広の空へ飛び立つのです。
オンライン授業では、帯広の地形特性や操縦方法などを習っているのですが、まだ帯広の地も踏んだことも、鳥のように空を飛んだこともないので、敢えて勉強関係は触れず、今回は先輩方が取り上げていないであろう『待機期間』について話したいと思います。
このブログの読者は航大について何でも知っているとは思いますが、一応そもそも待機期間とは?からスタートしたいと思います。
私たちは航大へ入ると、宮崎座学課程→帯広フライト課程→宮崎フライト課程→仙台フライト課程→卒業・入社 という流れを歩みます。宮崎の座学課程は教室で授業を受けるので、雨の日でも風の日でもシラバス通りに進めることができます。また仙台フライト課程も計器飛行という、外が雨や雲で視界が悪くても計器を見て飛ぶやり方ができるので、同様にシラバスに近い形で飛ぶことができます。
しかし、帯広フライト課程と宮崎フライト課程では、操縦練習のために有視界飛行という地上や地形を参考にして飛ぶやり方を行うので、雨が降って視程が悪かったり、雲が垂れ込んでいて訓練中に雲に入ってしまう状況だとフライトをすることができません。(また横風などの風の制限も存在します)
そのため、梅雨や濃霧(海霧)が発生する季節は長期間飛べないことも多々あります。また震災やコロナで訓練がストップになったことなど様々な要因も影響しているようです。このような理由から2つのフライト課程はシラバス通りに進まなくなっています。
そうなると宮崎座学課程を予定通りに終えた後、遅れている帯広フライト課程にそのまま入れないので、自宅待機をすることで調整しています。(学校のシラバス自体もオンライン授業を取り入れたり、フライトシミュレータによる訓練を増やしたり、カリキュラムを変えたりなど対策が進んでいます)
しかし、この待機期間という存在は悪いものでもないのです。
航大生に『待機期間何をしていたの?』と聞くとほぼ全員が口を揃えて『バイトをしてお金を貯めた』と答えるでしょう。課程中は寮生活ですが、授業料以外にも週末の食費や遊び代、教材費、光熱費など多くの費用がかかります。そのまま課程移動をしてしまうと金欠になってしまいますが、課程間でお金を稼げると少しは豪勢な生活ができそうです。
また航大は大学2年次から受験をできるので、入学時点では大学を休学している人もいます。そのため待機期間中に授業を受けて、大学を卒業する人もいます。また趣味に没頭している人も多いです。
では8-Ⅲはどんな生活をしていたのでしょうか?少し紹介しようと思います。
どうです?なんだかんだで満喫しています‼︎
そうそう忘れてはいけません、帯広フライト課程へ向けて充実した勉強ができるのも大きなメリットでしょう。朝ドラでも舞ちゃんが、『Circuit breakers All in, Parking brake Set…』と機内でやっていたと思いますが、数百ページにも及ぶ訓練要領を始めとする様々な資料を暗記して、どんな状況でもすぐ出てくるようにします。でも僕らは待機期間の1年近く勉強したので、教官から何を聞かれても全て答えられるでしょう 少しはできるようになっています。
8-Ⅲの過ごしてきた約10ヶ月を伝えることができたでしょうか?
次の更新の時は帯広キャンパスに移動していることと思います。また航大の楽しさを伝えていこうと思うので、今後ともよろしくお願いします。
最後に、“再開”した航大のカリキュラムで歴代“最下位”にならないように、8-Ⅲみんなで力を合わせて頑張っていきたいと思います‼︎