きっと空へいく

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Archive for the ‘操縦訓練’ Category

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] 世界で活躍する航大

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みなさんご無沙汰しております。

こんなに飛行機好きな航大生は中々いないとまで言われる、68回生Ⅲ期の阿部学生です。

仙台分校の校内探検をしていたら、飛んでる飛行機が気になって、探検どころでは無くなってしまったので、Intention Chaneとなっております…

空港に住むとは便利なもので、無線を聴いてレアな機体がくると、急いで飛び出して一撃必撮の日々を過ごしています。最近は仙台空港の無線施設の検査が盛んなようで、航空局の飛行検査機が飛び回っているのをキャッキャ言いながら眺めています。

短い方の滑走路を低空飛行するときはたまらないですねぇ

というのは置いておいて、本日のテーマは『世界で活躍する航大』ということで、航大は現在、毎年27名×4回期の108名が入学しているので、毎年卒業する航大生も100名以上います。

航空大学校の学校案内によると、『1954年7月、運輸省はエアライン・パイロットの養成を目的として航空大学校を設立。以来、航空大学校は日本唯一の公的なエアライン・パイロット養成機関として4000名以上の卒業生を送り出し、その多くが航空会社の定期路線を中心に民間航空事業の中枢で活躍しています。』とのこと。
(最新2026年度版の案内も出ていますので、ぜひご一読下さいね‼︎ 私の撮った写真も何枚かあったり…)

https://www.kouku-dai.ac.jp/07_download/pdf/2026degipan.pdf

募集要項によると日本のパイロットのうち約35%が航大の卒業生だとか…。ということは読者の皆さまが旅行等で飛行機に乗ると3回に1回は卒業生が操縦しているという計算になります。
あと数年すれば私たちも副操縦士になって、みなさんの旅のお手伝いをしているかもしれません。

ちなみに航空局の飛行検査でも航空大学校の卒業生や、航空大学校で教えてくださっていた教官が多く活躍しています。

…という、いかにもなブログを私が書くと思いましたか⁈
今回は『世界で活躍する航大』です、決して『世界で活躍する航大生』ではありません‼︎

では、今回の真のテーマを発表しましょう‼︎

それは…『世界で活躍する航大機』です‼︎
航空大学校を卒業して航空業界で活躍しているのは、航大生だけではありません。航空大学校での使用を終えた訓練機も色々な所で第二の人生(⁈)を過ごしているのです。
現在は帯広と宮崎でSR22を約30機、仙台ではBE58を13機使っています。
航空大学校は開校以来70年間で10機種、150機以上を使用してきたので、訓練機もいっぱいいるはずです。

巷で出会える航大機を紹介しましょう‼︎

読者のみなさんが簡単に目にすることができるものといえば、宮崎空港の展望デッキにいるJA8850(Beechcraft C90A King Air)が有名でしょうか?

宮崎空港といえばこのブーゲンビリア色‼︎ 今は機内も見学できます

この機体は東日本大地震の発災時に上空にいて助かった機体で、宮崎に場所を移して訓練をしていた縁から、空港ビル50周年で宮崎空港に展示されました。
今では宮崎空港で私たちの訓練を見守ってくれています。

展望デッキに着いたなら、航大の右側の格納庫も覗いてみてください‼︎
SR22の奥にも一際大きい機体がいますね。

空港から見ると少し遠いですが… テレコンを入れて撮りましょう

JA5174(Beechcraft H18)です。
格納庫の守り神なので、見られたあなたは超ラッキー‼︎ 
機体を出し入れする朝と夕方に見れるかもしれません。(もちろん航大に入学してくれたら、もーっともっと近くで見ることができますよ‼︎)
同じ機種のJA5150は色々な地を巡ったのち、鹿児島県霧島市の城山公園に展示されています。
JA5173はN26493として、オーストラリアで飛行しているとか…
他にもフィリピンで活躍しているのもあるらしいです。

他にもJA3621(富士重工式FA200)の一部が宮崎の校舎の部屋の一角にあったりします。(同期でも気づいてるのは私だけなはず…)

他にも航大機は貴重な資料として博物館に展示されています。
宮崎にあるFA200は名機であり、整備士の訓練機材として保存もされています。

東京都立産業技術高等専門学校の科学技術展示館にはJA3622があります。
この展示館は年に数回一般公開されており、近くで眺めることができます‼︎

後ろの機体も珍しいものばかりです

ちなみに上を見上げるとANAの前身である日本ヘリコプター輸送株式会社のヘリコプターJA7021(Bell47)も展示されています。

ANAの飛行機の便名は日本ヘリコプターからNHとなっています

所沢の国際航空専門学校にもJA3627が展示されており、エンジンがかかる状態で整備の訓練に使われています。

この学校には、いま仙台で使われているBE58の前のバロン、JA5203(Beechcraft B55)が同じく整備士の訓練に使われています。機内はアナログ計器のみで、今使っている機体とは大違いでした。西武新宿線に乗ると所沢駅の直前の左側、一瞬見えますよ〜。

一般公開で出会えた名機 (撮影許可済) 後ろには西武線が見えますね

ここまで見ると航大機の共通点が見えてきたのではないでしょうか…?

そうです‼︎ 赤と青いラインが入ってるのです‼︎

塗装は導入時期によって何種類かあり、毎日楽しみ♪(装備が異なって大変だとは言えない…)

今の仙台の機体も似たような塗装ですね。

帯広と宮崎の訓練機SR22の1つ前のBeechcraftA36・E33ボナンザは個人所有機として今でも複数機飛んでいますので、イベントや八尾空港などで塗装に注目して探してみると発見できるでしょう。

JA4165は帯広の学生寮から見えてテンション爆上げ
航空祭にもきますよ〜 JA4162 岩国基地航空祭にて
JA4161は八尾空港でスポッティングしている時に…

他にも複数の航空専門学校で整備研修用の機材として保存されているようです。

博物館にもありますよ‼︎
JA3440(BeechcraftE33ボナンザ 成田の航空科学博物館)
JA3442(BeechcraftE33ボナンザ 小松の航空プラザ)

岐阜のかかみがはら航空宇宙博物館には航大塗装になる、はるかはるか昔の機体が展示されています。

昔は愛称もついていたんですね

JA3084(川崎 KAT-1)は国土交通省の前身、運輸省時代に使われていたもので、航空大学校開校時に使われていた機体だとか…
現役時は銀色でマークが入っていたという噂です。縦に2人乗りとは、自衛隊の練習機のようですね。

いかがでしょうか? 世界で航大の卒業機が活躍していましたね。
航大の機材も人材もどちらも世界に羽ばたいている、ということにしておきましょう‼︎
みなさんもまだ見ぬ1機を見つける旅に出かけてみればいかがでしょうか?

乗れば愛機とはよく言ったもので、あれだけ苦労したSR22も久しぶりに会うと懐かしい思い出がよみがえります。
先日宮崎から帯広への輸送のついでにSR22が立ち寄ってくれ、今の訓練機と束の間の並びが‼︎

意外にも大きさはそんなに変わらないという

いずれBE58も愛機になる日が来るのでしょう…

おっと… 校内探検をしてたんだった… 次こそ探検を終わらせなきゃ‼︎

Written by 学生

6月 11th, 2025 at 11:36 am

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] Ordinary days

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私たちハチサンが出会ったあの日からどれほどの日々が経っただろう。


2022年1月6日、それは、ひなたの国・宮崎に相応しい、よく晴れた日だった。
右も左も知らない私たち27人は、コロナ禍ということで同期3人一部屋で集団生活を始めた。
年齢も出身も性格もバラバラながらも協力しつつ、手探りで”回期”という1つのチームを作り上げていった。
寝ても覚めても同期がいる生活、どこか非日常で特別なこと、まるで修学旅行の旅館の大広間でのワイワイのようだった。

あの日からいよいよ1200日が経過する今、この集団生活は日常の一部、いや全部であり、26人兄弟で1つの大きな部屋に住んでいるようだ。
「アレね」といえばすべてが伝わる、いや何も言わなくてもすべてが伝わっているのだろう。
各課程開始と修了時に毎回2時間近くかけて撮りまくっていた集合写真も、この仙台課程入寮時には撮らなかった。
それくらい、どんな日々も日常で、永遠に続くとさえ思っていた。

でも気付けば、パイロットのタマゴから、ライセンスを持ったプロパイロットのヒヨコくらいに成長していて、いよいよエアラインへの就職活動も始まっていた。
あと4か月もすれば各エアラインへ進み、中々26人全員で会えなくなってしまうのだろうか…
正直、そんな未来をまだ思い浮かべられていない。

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とまぁ綴りながら、最後にブログを書いてからどれほどの日々が経ったのかと調べて驚愕した、68-Ⅲの阿部です。
正直半年くらいかなって思ってたんですよ… 300日は経ってましたね…
日常ってとてもおそろしいですね~
まぁ宮崎・そして仙台がとても忙しかったんですよ、多分…

先ほども綴りましたが、各課程の最初と最後は集合写真を撮っていたのですが、ここ仙台課程では宮崎を退寮してから1週間くらいで入寮して、すぐから座学の授業が始まったこともあって、集合写真を撮っていないんですよ…
仕方がないので、宮崎フライト課程ラストで撮った集合写真を載せておきますね!

宮崎座学の最初と最後、そして宮崎フライトの最初の写真はこの記事で紹介しています‼
入学時から並び順まで同じなので、26人の老化と疲労具合をご覧ください(笑)

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] Fly High

事業用操縦士というライセンスを取得した私たちですが、エアラインに就職するためにはまだまだ資格が足りないぞ‼ ということで仙台では主に2つの資格を取得するために頑張っています。

1つ目が多発のライセンスです。
今まで飛ばしていたSR22は1つのエンジンと1つのプロペラしかなかったので、事業用操縦士でも限定事項として1つのエンジンの飛行機しか飛ばすことができません。
しかしエアラインでは2つないし4つのエンジンがある飛行機を飛ばすので、2つ以上のエンジンの飛行機を飛ばせるラインセンスが必要です。(型式限定が必要ないわゆる旅客機はまた別の資格が必要だったり…)
1つのエンジンだと1つが停止したら滑空して不時着する必要がありますが、2つあれば1つ停止しても、もう1つのエンジンで空港まで戻ることができます。(ただエンジンが両翼についているので左右のヨーイングを止めるために相当の脚力が必要です…)
このようにコンセプトからして新しいものになっています。

実は飛行機の大きさとしてはそんなに変わらなかったり…

2つ目が計器のライセンスです。
今までは有視界飛行ということで、雲から離れたり、視界の良い日しかフライトをできませんでした。
しかしエアラインで、今日は曇ってるので欠航ってなったら困りますよね…
そこで必要なのが、雲の中でも管制官の指示に従って、様々な航空援助施設を使用しながら飛行できるライセンスです。これさえあれば、最低限の条件はありますが、ほとんどの日にフライトをすることができます。

今のハチサンは1つ目の多発課程の終盤に差し掛かっていて、早い人は審査が始まるというハラハラな状況です。

ちなみに多発課程は18時間半、計器課程は30時間半しかなく(一部個人差があります)、1回のフライトで2時間近く飛ぶことも多いので、十数回のフライトで新しい飛行機をマスターしなくてはならないので中々にハードです。
また各エアラインの説明会が東京で行われるので、週末は2週に1度のペースで東京に行きます。(東京在住でないとコストがかかるので、後輩はきちんとお金を残しておきましょう!)
私たちはクルマに相乗りして割り勘をしています‼︎

とまぁ色々と書きたいことがありますが、久しぶりなのでこの辺にしておきましょう。


次回は新しいキャンパスということで、各課程恒例の校内見学ツアー やっていきたいと思います。
何それ⁈という、ご新規様はこちらをご覧ください‼︎

[68-Ⅲ🐝🐝🐝]航空大学校探検ツアー 〜宮崎編〜 その1

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] B班 航空大学校探検ツアー 〜帯広編〜 その1

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欲を言えばキリがないけど
どんな言葉で伝えようとも、足りないくらい
この当たり前の日常が愛おしい
暗がり迷っていた日々も、太刀打ちできない日々も、導けなかった希望も、報われなかった昨日も
同期が君でいられるように、そこに光がさすように
どんな時も傍らにいよう
卒業、いやパイロットをやめる日まで、この同期の手をずっと離さない

(一部、個人的な仙台課程テーマソング miletさん Ordinary daysより)

Written by 学生

4月 16th, 2025 at 12:56 pm

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] トリビアの泉

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皆さんは”トリビア”っていう言葉を知っていますか?
“トリビア”、それは人生には全く役に立たない無駄な知識。
人はなぜ、無駄だとわかってる知識を追い求めるのでしょうか?
かのSF作家、アイザック・アシモフはこう言いました。
「人間は、無用な知識が増えることで快感を感じることができる、唯一の動物である」と。
今日はどんなトリビアが私たちを「へぇ〜」っと言わしてくれるのでしょうか?

皆さん、こんにちは‼︎
地下アイドルがいる鉱山から、日が出づる時、絹に包まれる城を経由して、7つの湯を巡る温泉街で疲れを癒し、『管制圏でも情報圏でもない、国土交通大臣が告示で指定する空港』から帰るという旅の最中に、このブログの内容を思いついた、68-Ⅲの阿部学生です。

このブログの読者のようなプロトラベラーなら、どこを旅していたか、もうお分かりですかね…⁈

『管制圏でも情報圏でもない、国土交通大臣が告示で指定する空港』なんて日常生活をしていたら耳にすることなんてありませんよね…
でもこれを航大生に聞くと100%答えられます。

というのも宮崎座学時代の航空法規の試験で出てくるのです。(今は教官が勇退されてしまったので、出題されているのかは分かりませんが… Y教官お元気でしょうか?)

該当する空港は天草空港・調布飛行場・但馬空港の3ヶ所です。
これで読者の方々にも”人生には全く役に立たない無駄な知識”;トリビア”が付きましたね‼︎

今回は2003年〜2006年までフジテレビで放送していた、思わず”へぇ〜”と言ってしまうような雑学を紹介する番組、”トリビアの泉”になぞらえて、皆さまに無駄な知識を授けましょう‼︎
初めて知った知識なら”へぇ〜へぇ〜ボタン”をいっぱい押してくださいね。

最初のトリビアはこちらっ‼︎

①《地上走行はクルマとは全然違う》

車だとハンドルを回せば右や左に簡単に曲がることができますよね?(自動車免許を持っていないので知りませんが…)
飛行機も操縦桿が付いており、飛行中はそれを動かして旋回をするのですが、地上で操縦桿を動かしても(低速中/低出力中は)飛行機は曲がりません。
というのも車などはタイヤ自体を左右に回転させることで曲がっていますが、飛行機は動翼を動かすことで揚力差などを使って旋回をしています。そのため地上では翼に風が強く当たっていないため意味がありません。

大きい旅客機では操縦桿とは別に地上走行用のハンドルがあり、それで前輪を回転させることで曲がっていますが、SR22のような小型機ではそのようなものはありません…
ではどうやって曲がっているのか⁈

実は…後輪のブレーキを使っているのです‼︎
皆さん‼︎ ここ、”へぇ〜へぇ〜ボタン”押すところですよ‼︎

SR22はノーズタイヤ(ギア)が前方に1つ(前輪)、メインギアが後方左右に1つづつ(後輪)の計3つのギアがあります。

ノーズギアにはブレーキなどは付いておらず、自由に回転することができ、メインギアにのみブレーキが付いています。操縦席の足元にあるラダーペダルの上部を踏むことでブレーキがかかるようになっていて、踏んだ側のブレーキパッド(ディスクブレーキ)が当たり、ギアの回転数を落とすことによる回転差で曲がります。そのため機体の回転軸が後ろにあり、想像している位置でブレーキをかけてもうまく曲がることができず、最初はよく明後日の方向に行ってました。誘導路などにあるセンターラインに合わせるのが難しすぎて、訓練の初期ではこれが1番大変と言っても過言ではありません。担当教官にはご心配をおかけしました…

赤いERINGERと書いてあるのがブレーキです

次も地上滑走に関するトリビアです。

②《誘導路や滑走路のセンターラインは機体の真ん中で踏まない》

皆さんはフライトシミュレータで着陸する時は、飛行機の真ん中(ノーズギア)が滑走路のセンターライン上になるように合わせながら着陸しますよね⁈
私もそう思っていました、昨日までは…

エアラインなどの大きい飛行機はノーズギアがセンターラインの上に乗るように走行しています。また私たちも狭い駐機場内では別の機体との接触を防ぐためにノーズギアがラインの上に乗るように走行します。(それはそれでノーズギアが見えないので難しいのですが…)
しかし滑走路から続く誘導路や滑走路上では自分の(お尻の)下にセンターラインがくるようにします。
なぜわざわざズラすのか?って思いますよね。それは機体が左右にどのくらいズレているかを分かるようにするためなのです。

ノーズギアは操縦席から見えないし、操縦席は左側なので、センターラインがどの辺にあれば良いのかのイメージはつきません。左にズレてると言っても、どのくらいズレてるかの量もイマイチ分かりません。
しかし自分の下にセンターラインが来るようにすれば、センターラインが斜めに見えるならセンターライン上に真っ直ぐにいませんし、まっすぐ先まで延びていればライン上にいるということがすぐ分かります。
そのため着陸中もひと目で分かり、Pass・Center・AirSpeedのクロスチェックをしやすくなります。

とカッコつけて書いてますが、頭では理解していても、なぜか1人分機体が左にズレてしまい、担当教官には苦労をかけてしまっていた私です…(今ごろクシャミをしていそうです)

それでは機内でのトリビアに移っていきましょう‼︎

③《操縦桿は彼女のように、時に敏感で、時に重い》

どういうこと⁈ってお思いですよね。私も彼女がいないのでよく分かりませんが…
飛行機の状況によって異なるということなのでしょう。

例えば安定した定常飛行をしている時は少し操縦桿を動かしただけで、姿勢が変化して高度が変化したり、旋回が入ったりします。旋回の時はラダーと共に操縦桿を動かすのであまり力が要らず、トリムをキチンと取る(操縦桿の圧力を抜いて手を離してもその状態を維持できるようなシステム)と力をかけ続ける必要が無く、逆に力を抜くことで操縦桿のレスポンスから状態(Power;エネルギーが不足か過多か?や pitchは良いか?)を知ることができるようになります。

しかし失速の訓練で速度が遅い状態でpitchを上げる(上昇姿勢にする)時はすごい重さを感じ、かなりの力が必要です。失速の訓練をいっぱい行うと腕や指が筋肉痛になります…
まぁ、慣れてくる(操縦桿の正しい動かし方を知る)とヤミクモに力をかけないので筋肉痛にならないのでご安心を。

ちなみにSR22の操縦桿はボーイングのような、両手で持つ操縦桿では無く、エアバスのようなサイドスティックで、訓練生は左手でサイドスティックを持ち、右手でパワーコントロールを、教官は逆に右手でサイドスティックを持ち、左手でパワーコントロールを行います。

宮崎にあるG6の機内 帯広のG5の機体とスイッチの配置が異なります

パワーの話が出たので次はそのトリビアを

④《ゴーアラウンド(着陸復行)ってパワー足すだけ》

着陸中に明らかに安定したアプローチではなかったり、滑走路に先行機がいるときなどに、着陸をせずに再び上昇するゴーアラウンドですが、上昇するので離陸と同じようにパワーをMax(100%)にすれば良さそうですよね。

何をおっしゃい‼︎ こんな簡単ならファーストソロ前の試験やファイナルチェックでゴーアラウンドなんてしませんよ…

これはガセビアです。そんな単純ではありません…
パワーも足すのですが、それだけではありません‼︎ FLAP操作、ギア操作、姿勢の操作、管制とのやりとり、離陸と同じコールアウト、パワー操作…それらが数十秒で間髪入れずやってきます。

特に大変なのが姿勢の安定です。ちなみにSR22は単発機なのでパワーを操作したり、姿勢を変化させることでジャイロ効果やPファクターなどの様々な要因が発生し、旋回が入ったり偏向したりします。例えば離陸滑走の時は左に行こうとするので、右のラダーを踏んでその力を打ち消しています。しかし着陸時はラダーは左右色々です。

また着陸時はそれに合わせたトリムをとっています。なので急にパワーを足すと、思いっきり左に機首が向いてエネルギー過多で上昇姿勢になって、ひっちゃかめっちゃかになります(想像の10倍くらいグチャグチャになります…)。

また接地寸前では失速速度近くまで速度を落としているので、パワーを足したと言えど、急に機首を上げると失速します。そのためしばらくはレベルフライト(高度を一定にする)を行い速度が上がってきてから上昇に移行します。ただでさえゴーアラウンドは緊迫状態なのに、落ち着いて状況分析をする必要があります。
武井壮のように色々予測するのが重要ですが、先行機を確認したり、スタビライズドアプローチ(安定した着陸体制)を確立することでゴーアラウンドをしないようにするのが1番です。

ということで、これはガセビアの沼に沈めましょう(ドボドボ… ←この沈む感じも中々に快感なので、検索することをオススメします)

#明日使えないウソ知識に注意

パワー操作について出たので、パワーネタをまた一つ。

⑤《離陸の時以外パワーは全然使わない》

そうなんです‼︎ 離陸時以外は使っても50〜60%程度です。

某朝ドラでも、離陸の時は『Max Power‼︎』って言っていましたね‼︎ 離陸の時は滑走路内で離陸と上昇をするため、100%(実際は上昇するにつれて空気の密度の問題から%値は落ちていく)のパワーを使います。しかしひとたび巡航になれば、ナビゲーション訓練などで140ktで飛行する時は50%(宮崎のナビゲーション訓練では65%です)、タッチアンドゴー時の場周飛行の110ktで飛行する時は30%しか使いません。着陸に移る際には20%→17%→15%とパワーを減らし、滑走路の端を通過した後はパワーをアイドリング状態(0%ではない)にして接地します。

ちなみに100%で巡航を続けると170kt程度は出ますが、タスクをやるペースも早くなりますし、燃費も悪く、急がないのでほとんど使いません。

とそんなにパワーを持っているSR22ですが、風には敵いません。

⑥《体感で風吹いてるなぁ〜くらいでも訓練ができない時がある》

風向きと誰がどう操縦しているかで決まりますが、ソロフライトなら場合によっては10ktの風(約5m/s)でもリミテーションオーバーで訓練できません。
職員訓練/学生訓練/学生単独訓練(ソロフライト)の3つでそれぞれ条件が決まっていて、後は滑走路に対しての風の角度によって決まっています。

例えば学生訓練なら正面からの風なら30kt、真横からの風なら15kt、ソロフライトなら正面で20kt、真横で10ktです。また追風10ktを超える状態では離着陸を行うことが出来ません。
横風10ktの弱い風なんて、あんなに速く飛ぶ飛行機に影響あるの⁈って思いますよね‼︎ 

横風が吹いている時は、最終進入ではクラブアプローチ(crab approach)という機首を風上に向けることで、飛行機は風上方向に斜めに向かいながら、機体も風に流されて、結果的に進むのは滑走路に平行にして飛行します。カニという意味ですねぇ〜。しかしそのまま滑走路に接地すると機体が滑走路に対して斜めなので、タイヤの向く方向へ滑走路を逸れてしまいます。
そのため接地する直前にウイングロー(wing low)という風上の翼を下げつつ、逆のラダーを踏むことで飛行機は風上に曲がろうとスリップの様な形で飛行します。それにより飛行機(の機軸)も滑走路と平行なので、接地してもタイヤは滑走路と平行なので滑走路を逸れることはありません。しかし翼を傾けるので、風が強すぎると翼端を擦ってしまうかもしれませんし、風が全ての地点で一定の風向と風速でないので、その加減を適時変えなければいけません。風が強いとその振り幅も大きいので難しくなるのです。

crabからwinglowに変えるのがまた難しい…(ボーイング社のページより)

皆さんのトリビア(=無駄知識)がオーバーフローして日常生活に支障が出てしまいそうなので、この辺でやめておきましょう。

私たちはこのような知識や経験を積みながら、一歩一歩進んでいます。

そろそろシーラスが僕らを呼んでいる声がする…

これはシーラスではありません… #明日使えないウソ知識に注意

Written by 学生

5月 16th, 2024 at 9:29 am

【69-Ⅰ】帯広課程修了

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皆さんこんにちは。69-Ⅰのブログ担当です。座学中の8月以来1年8ヵ月ぶりのブログになります(サボっててごめんなさい)。

さて、69-Ⅰは昨年10月末にA班、11月半ばにB班が帯広課程をスタートさせ、4月11日までに全員一発合格で最終審査を終えました。そんなわけで、待機期間に突入して自宅警備に忙しい今、帯広にいるあいだの季節の変化を振り返ってみたいと思います。

さて、A班が入寮した10月末は紅葉がきれいな時期でした。写真は入寮直前に夕張紅葉山という場所で撮影した写真です。綺麗なもんですね。これが1か月経つとこうなります。

季節の変化とは恐ろしいものですね。10月が11月になっただけでこの通り。

12月になれば車もこの通り、雪まみれになりました。こうなったら陽が昇ってるうちに雪を降ろさないと次の日にはカチコチに凍っています。日の入りは3時50分くらい、4時半には真っ暗でした。

年末年始は12月29日から1月8日までなんと11連休。「帰省するなら自腹。甘ったれるな」と家族から言われた筆者は「年越し宗谷岬」と呼ばれるイベントに参加しました(車で)。ガッツある同期に6泊連続車中泊がいいと言われ疲れ果てたのもいい思い出です。

フライト訓練にも目を向けますと、1月末からはPre-Solo Checkとファーストソロです。初めての審査で緊張して力を発揮しきれなかった学生も多かったようですが、全員一発合格で2月半ばまでにSoloに出ることができました。写真は69-Ⅰのファーストソロ第一号です。

2月後半からはNavigation訓練が中心になります。事前にしっかり準備をして実際に飛んで街や物標の見え方を確認する、ということができればいい感じです。写真は2月末の浦幌の街ですが、雪のおかげで街、川、橋、森がくっきり映っていてとても探しやすかったです。やっぱり冬に訓練っていいですね。こんな景色が3月末まで続きます。そしていよいよ最終審査。

審査の前1週間くらいで浦幌の景色がこの通り、変わり果ててしまいました。そしてたまに緑色の畑がある以外はありとあらゆるものが茶色一色に染まっています。ちょっと気温が上がっただけでこんなに景色が変わるなんて、自然の力ってすごいですね。おかげさまで審査直前の訓練でロスポジした人もいたとかいないとか。そんななかでも審査はなんとか全員合格、全員で宮崎への切符を勝ち取りました。

冒頭の夕張紅葉山は帯広を去る頃にはこんな感じでした。ところどころ緑があって春が近づいていますね。

さて、69-Ⅰはまた長い待機期間に突入しました。半年後から始まる宮崎フライト課程も頑張ってまいりますので皆さまどうぞ応援よろしくお願いいたします!

Written by 69i

5月 6th, 2024 at 2:28 pm

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] Fly High

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海に飛び出た滑走路、赤い格納庫、青島から市内中心部へ延びるバイパス…
2年も前の記憶だが、まるで故郷に帰省したかのように思い出される鮮明な記憶の数々…

2022年1月6日、羽田空港のゲートで彼女に見送られ、ひとり搭乗口でコーヒーを飲みながら黄昏れていたタイセイ学生

2022年2月20日、宮崎空港で彼女を見送り、デッキで黄昏れていたタイセイ学生

つい昨日のことのように鮮明に思い出される。
そんな彼は、いまや愛するブンチョウや彼女を故郷に残しても黄昏れない、強い宮崎フライト学生です‼︎

おっと、タイセイ学生を紹介して、私の自己紹介を忘れていました。
東京に彼女を残して悲しませないように、彼女を作っていない(⁈)、68回生Ⅲ期の阿部学生です。

帯広フライト課程が終わってはや半年、宮崎座学課程が終わって約2年、決戦の地・宮崎に8-Ⅲが戻って参りました。

遡ること27ヶ月前、年齢も出身も所属も異なる私たち27人は、パイロットになるという共通の目標を胸に集まった。
見たことのない景色まで、どこまでも高く高く飛ぶために。

航空大学校へ入学した日 まだ若干の距離感を感じますね
授業の風景 パイロットに憧れて、暑いのにフライトジャンパーを着ています

慣れない集団生活、果てしなく続く学科の試験、雲の上のようなフライト学生さんの背中。
その背中に届くと信じて、無我夢中で進んだ、思い描いていたパイロットの世界へと。

宮崎座学課程退寮時の写真 27人で潜り抜けた半年で、絆も深まりました

それから帯広で半年、約50時間のフライトをし、自家用操縦士相当の技量を持った(であろう)私たちは、いま宮崎の地に立っている。

宮崎に舞い戻った私たち 胸にはウイングマークが輝いています 実は正門の前の写真、並び順が一緒なんです‼︎

帯広とは桁違いの民間機の交通量、降り続ける雨と全天を覆い尽くすような雲、晴れるとそびえ立つ背の高い雲…

宮崎ではそんな雲も越えて他空港へ行かなくてはならない。

We’re gonna fly
We’re gonna fly so high
We’re gonna fly together

とは言いつつ、実機でのフライトはもうちょっと先で、しばらくはFTD(シミュレータ)実習と座学の授業をしています‼︎

CRMの授業の風景 チームとして伝えることの難しさを痛感している模様

この先、フライトが始まると帯広よりもハードな日々が続くようです。
でも大丈夫、8-Ⅲの同期がいるから‼︎

I’m not scared ‘cause I know we’re with me
We know we can
We know we can fly high

同期はほぼ家族

(一部、個人的な宮崎課程テーマソング miletさん Fly Fighより)

Written by 学生

4月 30th, 2024 at 9:37 pm

[68-Ⅲ🐝🐝🐝]1機の飛行機の裏に

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皆さんこんにちは‼︎ そして明けましておめでとうございます‼︎
航空機だけでは飽き足らず、乗馬も始めた、68回生Ⅲ期の阿部学生です。自動車の免許が最優先だと思いますが…
2024年も重〜い記事を沢山投稿していきますので、よろしくお願いします。

よくパイロットの記事で、『飛行機はパイロットだけで飛ばしているのではなく、多くの人のおかげで飛べている」という話を聞きませんか?
お客さんとして搭乗する際にも整備士やグランドスタッフを目にする機会があると思いますが、実際にはもっと多くの職種の方々が関わっているのです。
今回はとある1フライトを時系列で追いながら、パイロット以外の職種に注目していきたいと思います。

航大生なら「わかるぅ〜‼︎」となると思うのですが、最もハードと言われてる”午前フライトのウェザー担当で前段のエアワーク”という設定で行きましょう。
正直ナビゲーションの方がシンドイという人が多いのですが、帯広課程のナブは1度準備してしまえば同じ手順をこなすだけですので、諸元とか手順がいっぱいで頭も一杯になるエアワークにしたいと思います。異論は認めません‼︎

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午前ウェザーの朝は早い。時刻は6:00の5分前、部屋はまだ薄暗い。
意識が朦朧とする中、忘れ物が無いか最終チェックをしながら、フライトバッグを引っ張る。
ルームメイトのリョマチ学生はウエバラ担当(注;weight &balanceのことで機体や燃料・搭乗者の重量や重心から安全に離着陸ができるかどうかを計算する。帯広課程の後半ではExcelで行うため、やることはほぼゼロ)だ、気持ちよさそうに布団もかけずに寝ているぜ… 起こさないようにそぉ〜っとドアを開ける。

廊下を歩きながら窓の外を見ると雲ひとつない。ウェザブリ(注;ウェザーブリーフィングのこと)はネタが無さそうだ。山側のエリアだから、とりあえず風について言うか。
ブリ室(注;ブリーフィングルーム)に荷物を置いて場所取りをする。PCによっては気象庁のサイトやExcelが使えないから、ここから戦いが始まっている。
荷物を置くとそのまま印刷室に向かう。ブリーフィングで使う天気図を9枚印刷するのだ。
モエキ学生がプリンターの前で焦っている。どうやら紙を詰まらせてしまったらしい… 時間がないというのに…
そう言えば、この天気図も気象庁の人が作ってくれているからこそ入手できるんだよなぁ〜 ASAS(注;アジア太平洋の大まかな実況天気図、6時間毎に更新される)なんて26時に発表されてるんだもんなぁ…

①気象庁の人

ブリ室に戻ると6:15だ。ここから天気図に色を塗ったり、様々なデータを見ながら、何を話そうか考える。風と雲について言うことが多い。
ふと窓の外を見ると、大きくCABと書かれた車が誘導路を爆走している。滑走路の点検か… あの速度で点検って動体視力すごいよなぁ〜

②帯広空港のCABの人

そんな事をしていると、時刻は7:14、朝ごはんの時間だ。出遅れると長蛇の列で大幅に時間をロスする。今日は水曜日だからフレンチトーストか。フレンチトースト命のナオキ学生は今週も廊下を全力疾走して食堂へ向かっているわ…

③食堂の人

朝食をかき込むと、すでに7:35を過ぎている。ブリーフィングは8:00からである。まだWindy(注;天気に関してありとあらゆる情報を得られるサイト 課金すると更新頻度が上がったり、機能が増える)、とGPVのSSI(ショワルター指数のこと 大気の安定度がわかり、積乱雲の発生しやすさの目安)見てないや‼︎
この間に航空情報担当の班員がフライトプランを書いたり、エアワークのための空域を予約する。
しばらくすると申請が承認されるのだが、札幌ACCの人が確認しているようだ。

④札幌ACCの人

いよいよ迎えた8:00。ブリ室のドアを気にしつつ、PCのF5キーを連打する。最新のMETAR(注;空港の風や雲や視程の情報 基本的に1時間ごとに更新)を入手するためだ。
これをブリーフィング前に知るのと知らないのでは雲泥の差である。唐突に変わってると詰められ、フライト前に地獄を見る…

8:35、楽しい楽しいブリーフィングが終わるといよいよフライトである。航空情報の人は運管室でフライトプランを提出する。運管室の人がPCに入力後に各方面に共有されているらしい。

⑤運管室の人

それ以外の班員は機体へ向かい外部点検をする。前段なので内部点検もする。整備のJGASさんのお陰で機体はピカピカだ‼︎

⑥整備の人

エンジンをかけ動作点検も終わった。他の訓練空域を通るため④の札幌ACCに今のうちに許可をもらう。
『JA010C, on the ground of obihiro airport, we will cross HK2-7, then proceed to HK2-4, also leave your frequency』
帯広空港には専用のアンテナがあり地上でも札幌ACCとコンタクトできる。これを今やる事で離陸後忙しい時間のタスクが1つ減る。この後は⑤の運管室の人にカンパニー周波数で出発報告をする。
『10C,エアワーク訓練のためランプアウトします』
最後に帯広の管制塔に地上滑走許可をもらう。
『JA010C,at CAC, request taxi instruction, northwest bound』
ランプアウトするだけで大変だ…

⑦帯広タワーの人

滑走路脇でエンジンテストも終わり、いよいよ離陸だ。「パンッ、パンッ」、滑走路脇で空砲を撃っている。芝刈り後の虫を食べにカラスが集まっているようだ。バードストライクをしたら大変だ‼︎(注;もちろんエンジンに当たったりしたりしても大変だが、鳥衝突をすると機長は鳥衝突レポートを書かなくてはならない)

⑧バードマンの人

ターミナルの横では空港消防の消防車が待機している。万が一の時にすぐ駆けつけてくれる。

⑨空港消防の人

いよいよ離陸だ。飛び立つとあっという間だ。⑦の帯広タワーの周波数を離れた後は再び④の札幌ACCとコンタクトだ。そこで訓練空域への入域を報告する。
『JA010C, entering HK2-4』
その後はStallやSteep turnなどを行う。まぁ機体や風によって諸元が異なり、難しいことよ…

エリアを離れる際には再び④の札幌ACCに報告をする。管制官が変わったようだ。パイロットはしばしば管制官の声に惚れる。訓練が辛くても一気に癒される。
『JA010C, leaving HK2-4, good day‼︎』 思わずグッディなんて言ってみちゃう。クリスマスにはメリークリスマスって言うパイロットもいるとか…
パイロットと管制官の結婚とかもあるとか無いとか…
隣で教官があきれている… そうそう、教官もいなくては訓練生は飛べない。

⑩すごくすごい怖い教官

ちょっと早く帰りすぎたな、1回タッチン(注;タッチアンドゴー)するか
『JA010C, over nakasatsunai, 2000, request landing instruction, touch and go』

『チェックスター1です, 帯広VOR/DMEチェックのため離陸します。離陸後レフトターンで〇番のローパスを行います』
おぉ‼︎ チェックスターだ‼︎ しかも1ってことはJA701Gじゃないか‼︎ 最近導入されたばかりのすごくすごい機体らしい。他の機体よりちょっと大きめで、航続距離もグッと延びて…
危ない危ない、ものすごく忙しいトラフィックパターンでアツく語るところであった… 高度・速度・姿勢のクロスチェックと外部監視だ‼︎
帯広VOR/DMEの更新工事のための検査をしているようだ。これも自機位置把握のためになくてはならない施設ある。ちなみに飛行検査のパイロットは航大の元教官も多かったり(注;どちらも航空局の職員)
航大卒業の選択肢として飛行検査もあるらしい。最新鋭機とか見学してみたいなぁ〜

⑪飛行検査のすごくすごいパイロット

『OBIHIRO,12Cです,管制指示のため糠内2000でホールドしてます』
他の機体のポジションレポートだ、糠内V-REP(注;空港着陸のためのゲートみたいなもの)でホールドか、接近しないように気をつけなければ…
このように他のパイロットの通信も大切な情報である。

⑫思いやりのあるデキる同期

タッチン上手くいったなぁ〜 次はタッチン後ブレイクして中段に交代しよう。
このように空港周辺を飛べるのも地元住民の方々のご協力のおかげである。

⑬温かい地元住民の方々

再び離陸後、⑦の帯広タワーを離れて空中交代をする。
フライトは1人当たり1時間。それだけでクタクタだ…
4人乗り(注;5人までは乗れないことはない)の飛行機で交代するのは至難の技だ。コツは腕と脚の関節を2箇所くらい外すことだ。私は座布団を使ってるので、中段のリュウセイ学生に前席に残した座布団を投げてもらう。

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いかがだったでしょうか?パッと(注;旅行帰りの1時間でこの記事を書き上げています)考えてみただけでこんなにも多くの人が関わっています。どのピースが欠けても、1機の飛行機を安全に飛ばすことはできません。

“飛行機にかかわる仕事がしたい”読者の皆さんはどんな仕事を選びますか?

今回のブログは色々な仕事を自分で検索して、出会って欲しいので、敢えて写真を1枚も載せませんでした。

ファーストソロの時に色々とお世話になった管制官、大量のフライトプランを笑顔で受け取ってくれた運管室の方、顔が映るくらいピッカピカの機体を朝早くから提供して下さるJGASの方、地上走行すらままならなかった私を飛べるまで育ててくださった担当教官、そして辛い時も嬉しい時も共に喜怒哀楽した同期…

こんなにも異なる職種の方に支えられる仕事ってパイロットくらいかもしれません。ソロフライトでも決して孤独ではない。このような経験をしたい貴方はCACへ‼︎

書きたいネタはものすごくあるので、また気が向いたら投稿します。
このようにブログを書けるのも、読者の皆さんがいるからですね‼︎

⑭長文を読んで下さる読者の皆さん

Written by 学生

1月 10th, 2024 at 10:54 am

[68-Ⅲ🐝🐝🐝]EZ DO DANCE!!

without comments


皆さん、こんにちは‼︎ 回転翼航空機も操縦してみたくなっている68-Ⅲの阿部学生です。
宮崎入校前にまた更新すると思っていなかったですよね⁈
更新しない訳ないじゃないですか‼︎ 今回は題名の通りTRFについて紹介したいと思います。

どういうこと⁈と思っている受験生の皆さん、親御さんに聞いてみてください。

…と言うのはウソで、TRFと言えば小室哲哉とサムですよね⁉︎(世代がバレる…)
なので “ルール・オブ・サム” サムの法則(⁈)について話してみたいと思います。航空業界の方ならよく使いますが、日常生活では聞いたことがないのではないでしょうか?
TRFの “SAM”、和を出す “SUM”関数、少しの”SOME”、ダジャレが “寒っ”、ではありませんよ〜
今回のテーマは “THUMB” です。

エアラインではSI単位系(m・kg・sなど)よりも、ft・NM・ktなどの単位を用いることが多いです。さらに同じ “長さ” でも、距離はNM・高さはft・飛行機の長さはin(インチ)を用いるなど単位が混在しています。
“Rules of Thumb” とはパイロットが様々な数値の単位換算(m⇄ftやkm/h⇄ktなど)を暗算で簡単にするために、近似値を出すことができる法則を作ったものです。

操縦中は様々なタスクが重なっていたり、練習機などの与圧されていない小型機では低酸素による判断力の低下などにより、小学生くらいの計算能力になってしまいます。そのため地上ではなんて事のない簡単な計算も間違えたりすることがあります。そのため1ftは0.3048mだから…とは考えてられません。
そこで登場するのが、m→ftなら『3倍して、その結果の1割を加える』、ft→mなら『3倍して10で割り、その結果の1%を加える』という”Rules of Thumb”です。

例えば3000mは実際、約9840ftくらいです。この近似式を用いれば3000×3=9000、1割は900なので、9000+900=9900ftとなり、60ftの差で約0.6%しか誤差がありません。ftからmも非常に誤差が小さいです。

飛行機乗った時に『ただいま高度33000ft、mに換算しますと10000mを順調に飛行しております』という機内放送を聞きますよね。旅客機なら機器ですぐ分かるかもしれませんが、”Rules of Thumb”を知ったあなたは、33000ft×3÷10=9900、1%は99、よって9900+99=9999m と暗算でもできますね‼︎

タイセイ学生、ついて来れてますか〜?

様々な “Rules of Thumb” が航空業界のバイブル「AIM-j」の11章の後半にも載っています。

では次は中級です。実例を用いて色々計算をしてみましょう。
また馴染みのある単位に変換できたら、身近なものに例えてみましょう。よく霞が関ビルや東京タワーに例えますよね?(また世代がバレる…)
もちろん今回の例題は、私たちが使う練習機SR22からの問題です。

まずこの写真をご覧ください。

後部座席から撮っているので画質が悪いですが、操縦中に用いるグラスコクピットの右側のMFDと呼ばれる、エンジン計器などメカニカルな情報が表示される画面(をバックアップモードで操縦に必要な計器も表示させた状態)の写真です。

このようにSR22は最新鋭の機体なので高度や速度、姿勢などの情報がアナログの機器ではなくて、計算されたデータとして1枚の画面に表示されるようになっています。そのため目の移動(クロスチェック)が少なくてラクになった他、計器の針の数値判読に脳の容量を使わなくて良くなっています。

という雑学は置いておいて、本題に参りましょう。

皆さんは航大オタクなので、瞬時にどれがどの情報か分かるとは思いますが、念のために説明しましょう。

まず画面が水色と茶色に分かれてますね。これが空と地面を表しています。そして黄色の山の形(漢字の八)のようなものの頂点が飛行機の姿勢を表しています。またそこに横の線が何本かあって、「10、20」と数値がありますね。これが昇降のpitch角を表しています。今は水色の所にあり、+10°の1/4の線に山の頂点があるので、+2.5°で上昇しています。ですがこの角度の単位(°)はみんな知ってますね… 変換しようがないです。

またその姿勢の表示の下に「065°」とありますが、これは機首が向いている方位を表していて、東北東ですがこれも(°)です…

紫色のダイヤ印(♦︎)が風を考慮した進んでる方向を表していたり、姿勢表示の上では機体の横方向の傾き(Bank角)が分かったり、様々な情報がありますが詳しくは入校してから習いましょう。(現職の皆様、機体が滑っていますが2回目のフライトの時なので許してください…)

では【問題1】
いま飛んでいる高度をmで表してください。

姿勢の表示の右側の縦の表示をみてください。「4480」とありますね。これがいまの高度になります。なお高さなので単位はftです。面倒なので4500ftということにしましょう。

ft→mなら『3倍して10で割り、その結果の1%を加える』でしたね。
4500×3÷10=1350、1%は13.5 1350+13.5=1363.5 大体1365mくらいでしょうか?

333mの東京タワー4つ分の高さですね。3776mの富士山の1/3強です。そう考えると低いでしょうか?
このようにftでは分からなくてもmなら実感がわきますね!
この調子でどんどん行きましょう♪

【問題2】
いま飛んでいる速度をkm/hで表してください。

姿勢の表示の左側の縦の表示をみてください。「147」とありますね。これがいまの速度になります。これはktという単位で1ktなら1時間で1NM(海里)進む速度です。
まず海里ってなんぞや?と困惑してしまいますね 1NMは1852mですが、そんなことを考えていたら目的地を通り過ぎちゃいます…
面倒なので150ktということにしておきましょう。

kt→km/hにはこんなルールがあります。先ほどより複雑ですよ‼︎
『2倍して元の値の15%を引く』
150kt×2=300、150の15%は22.5、300-22.5=277.5 大体280km/hくらいでしょうか?

これは最高時速285km/hの東海道新幹線くらいの速度ですね。エンジン1つの小型機と言えど中々に速いですね。
離陸時でも73kt(135km/h)と在来線特急の最高速度(130km/h)並の速度を出しているんです。それで幅が45mしかない滑走路を滑走するなんて… ママチャリ(最高速度20km/h)の次にSR22を操縦した中の人は、離着陸時に生きた心地がしませんでした…

【問題3】
帯広空港から直線距離でどのくらい離れているかkmで表してください。

これはどこを見たらわかりますかねぇ〜?

まず左上には「109.65 OBE」とありますね。これがDME(Distance Measuring Equipment)という装置に入力した周波数で、これをセットすることでOBE(帯広空港)からの直線距離(正確には上空の機体までの斜距離)がわかります。
下の円の左側に 「DME NAV1 109.65 18.3NM」とあるので18.3NM離れていることがわかります。斜距離なので地図上の距離はもう少し短いですが、18NMとしておきましょう。

このルールは… 残念‼︎ 載っておりません‼︎ ひっかけ問題です‼︎ 1NM=1.852mなので計算してくださーい。

全てが載っている訳じゃないんですよね… ちなみに計算すると33kmくらいです。
東京から千葉くらいまでの直線距離(32km)くらいですね。

【問題4】
エンジンのオイルの温度を℃で表してください。

エンジンオイルの温度ってなに⁈ ネタ切れなの⁈ という声も聞こえますが、静かに解いて下さいね〜
左側の欄に「Oil ℉ 178 」とありますね。これが温度です。いわゆる華氏ですね。 

このルールは『32を引いて半分にして、その1割を加える』です。難しすぎるとか言わないでください。
(178-32)÷2=73、1割は7.3なので、73+7.3=80.3 約80℃でしょうか?

コーヒーを淹れるのにちょうど良さそうな温度で、お湯の沸騰の温度より低いんですね〜

ちなみに左側の欄の1番下に「EGT ℉ 1315」とありますが、これが排気のガスの温度で当てはめると、700℃くらいです。
タバコとかの温度くらいでしょうか?ラジウムの融点くらいでもあります。(多分伝わりにくい…)

他にも各速度で、着陸の際に3°の降下角度を保つためにはどのくらいの降下率をすれば良いのか?や、30°のバンクを入れた時にどのくらいの旋回半径になるのか?など様々なものがあります。

皆さん、タイセイ学生、ついて来れましたか〜⁇

結局、東京タワー4つ分の高さを東海道新幹線の速さで飛んでましたね。

先ほどの写真には燃料量やエンジン回転数、風の情報など様々なデータが盛り沢山なので、残りはお正月に自学自習しましょう。

ちなみに今回紹介したMFDはボタンで様々な情報に切り替えられますが、こんな独特なマップにも変えられます。これも勉強してくださいね。(ヒント:低空で飛行する時に非常に重要で便利です)

このように航空業界には様々な興味深いネタが沢山あります。
また紹介できたらと思います。

では、良いお年をお迎えください。

元航大の練習機が帯広に飛来していました

航大のSR22の前のA36ボナンザはアナログ計器だったみたいです。
自衛隊の初等練習機のT-7もアナログ計器です。
ちなみに電子機器が故障した場合の予備計器はアナログ計器ですが、膝元にあるので操縦がかなり大変です…

Written by 学生

12月 27th, 2023 at 12:00 am

[68-Ⅲ🐝🐝🐝]空から帯広を見てみよう

without comments


『もしもし、そこのあなた。地面を歩く生活に疲れておらんか? たまにはわしらと一緒に、空から帯広を眺めてみるというのはどうじゃろう?』

こんにちは、68-Ⅲの阿部学生です。
読者の中には、このフレーズをご存知の方もいるかと思います。

これは某テレビ局で2008年〜2018年まで放送されていた、雲の妖精と一緒に空から日本中の自然や街並みを眺めながら、様々な発見をしたりする番組の冒頭のフレーズです。
私はこの番組が大好きで全話のダビングを持っています(笑)。
この番組がきっかけで空を飛んでいると言っても過言ではありません。

番組内の映像はヘリコプターからでしたが、今回は訓練の半年間で撮り溜めた画像の中から、1つのフライトを再現してみたいと思います。
写真を撮っておくことはとても大切で、航跡アプリと照らし合わせながら、計画とどのくらいズレていたのかや、著名な地点物標の実際の見え方を覚えるのに使います。
後席でも地図と睨めっこしながら乗ることで、他の班員のフライトタイムも有効活用しています。

これから載せる写真は、後席で外部監視をしつつ学習の用に撮ったもので、写真によって機体の登録記号もまちまちであること、内容は一部省略をしていることを予めご了承ください。
それでも莫大な情報量ですので心してお読みください。

では一緒にフライトをしましょう‼︎

それでは早速、空から…と行きたいところですが、空を飛ぶには知識が必要ですね。
簡単に帯広の空や飛行機についてご紹介しましょう。

私たちが訓練する帯広空港の周辺空域にはいくつかの訓練空域があります。それぞれ手頃な大きさに区切られており、失速のような高度や速度・姿勢を大きく変えるフライト(エアワーク)をする時には、訓練空域を予約して1エリア1機が使います。大きさとしては直線飛行で3分くらい飛べるくらいでしょうか? 高さは場所によって異なりますが、6000ft(2000m)程度となっています。
今回は激しい飛行はしない予定なので、エアワークの邪魔にならないように気をつけながら訓練空域を1周していきましょう。

今回皆様が乗る航空機は単発プロペラ機のSR22となっており、最大で4+1名乗れるようになっています。なお5人乗ると空中交代ができないので教官1名と学生3名の計4名で乗っています。

今回のような空域を1周するフライトは野外航法(ナビゲーション)訓練と呼ばれ、高度は3000〜5500ft(1000m〜1700m)程を150kt(280km/h)程で飛行します。
東京スカイツリーの2〜3倍くらいの高度を東海道新幹線くらいの速度で飛んでいる感じです。
私たちは地図と地上の物標を見ながら飛行する有視界飛行という方法で飛行するので、3000ft以外の高度は1000ft+500ftの高度(3500/4500…)を西向きと東向きで使い分けて飛行しています。詳しくは調べてみてくださいね♪

とまぁ、話し出すと半年かかるのでさっそく飛行機へ向かいましょう‼︎

飛行機がいっぱい並んでいますね〜
私たちは飛行機に向かったら、内外の点検を行います。
搭載物がきちんとあるか?、機体構造や機構に問題はないか?などを1つ1つチェックすることが法律で義務付けられています。(機体に向かう前には気象や重量バランス、航空情報なども確認しています)

それが終わると搭乗して、朝ドラでやっていたように『Circuit breakers-all in』『Seat and seat back-adjust』と100項目以上の点検をしながらエンジンをかけます。

エンジンをかけ終わると、各方面に無線通信を行います。実際はイニシャルコンタクトと呼ばれる、「こんにちは私の名前は〇〇です」というような通信設定を行いますが、飛ぶ前に日が暮れてしまうので省略します。

札幌ACCに訓練空域通過の連絡
『JA010C, on the ground of obihiro airport, we will cross HK2-All area』

学校のカンパニー周波数への出発報告
『10C ナビゲーション訓練のためランプアウトします』

帯広管制塔への移動の許可
『JA010C, at cac, request taxi, northwest bound』
『JA010C, taxi to holding point runway35, QNH2992』

地上滑走の許可が出たら滑走路へ向かいます。
滑走路に着いたらいざ空へ‼︎

と言いたいところですが、飛行機そんな甘くありません…
滑走路脇でエンジンテストを行います。自衛隊の戦闘機でもラストチャンスのアーミングエリアとか言いますよね(中の人は電車と戦闘機も好きです)

私たちが離陸準備の間 他の航空機が横を通っていきます 手を振ると振り返してくれます
後続機も来ましたね〜 前の機体が終わらないと後続機は上がれません 焦らず、でも巻きで
最大4機まで並べます 5番目は次の誘導路へ

準備が完了したら、帯広の管制へ報告し、離陸許可をもらいます。

『JA010C, at T-4 ready, request left turn departure』
『JA010C, left turn approved, runway35 cleared for takeoff』

滑走路で待てという指示も出ますが、その時に何機も並んで待つこともあります

では空の旅へと向かいましょう‼︎
実際はここまでブリーフィング開始から80分、飛行機に乗ってから20分ほど経過しています。

『Max power』『60kt、73kt rotation』『Positive climb, gear up』
飛んでからもひたすらやることは続いていきます。なお練習のため実際は動きませんが、ギアスイッチがあります。

左旋回をリクエストしたので、そろそろ旋回をしましょう‼︎
Runway35で左なので西方向ですね。

旋回をすると滑走路や空港が見えます

「帯広空港の横空港のそばにお城が⁈ 」
ズームをしてみましょう。

「豪華な建物ですね〜」「帯広には大金持ちが住んでるのですか⁇」
番組好きの私にはあの軽快な音楽が聴こえてきました…。CMが入りそうだ…

実はグリュック王国というテーマパークの跡地なんです。1989年〜2007年まで営業していた10万平方mを誇る施設で、町おこしのためにドイツをイメージした施設だったようです。現在でも建物や風車、観覧車などが残っています。
周辺は林なので地上からはあまり見えませんが、上空からだとよく見えますね‼︎
このように上空からの見え方はマップと違うので、そういう点に留意しながら地点評定をします。

それでは戻りましょう。
3000ftで帯広空港の管制圏を抜けるので、帯広管制塔へLeaveを報告し、上空を管轄している札幌ACCの周波数をモニターしましょう。

『JA010C, leaving control zone』
『JA010C, frequency change approved』

前方には小高い山、嵐山が見えてきました。ここには渡月橋はありません。

嵐山は遠くからでもよく見えるので、ナビゲーション訓練では発動点に使われます。
発動というのは航法の出発の基準となる点のことで、ここからの方位と時間を求めることで、次の場所へと正しく向かえるのです。
私たちは訓練のためにカンパニー周波数にポジションレポートというのを行います。

『JA010C, over arashiyama 10, maintain 3500, estimate shikaoi 18』

この際には訓練空域の使用機がいないか、周辺に他の航空機がいないかも確認します。

また発動点を過ぎたら測風というのを行います。
方位と時間というのはあくまでフライト前に風の予想を用いて計算した値です。実際の上空の風は飛んでみないとわかりません。実際に予想の方位で飛んでみて、地上の物標と見比べながら、どのくらい流されたから方位を何度変更しよう、という風に飛んでいきます。

この測風、言うが易し、行うが難しなんです…
測風ではきちんと測るために方位と高度を一定にして飛行します。これが難しい。この間も様々な報告をしたり、時間を記入したり、機器を確認したりします。もし3°ズラして1分飛行すると240mもズレてしまうんです‼︎
そのため意識はFly First。集中です。
さらには、測風で出た結果を元に新しい方位を計算するのが難しい‼︎ 所詮3ケタ±2ケタ程度の計算ですよ。それが操縦と上空の気圧の中では難しいんです… 間違えると明後日の方向に飛んでいきます…

帯広の西には日高山脈が、北には大雪山系の山々があります。比較的山の近くを飛ぶので、計器に集中してはいけません。外部監視です。といっても知らないうちに集中してしまいます。だから後席はきちんと外を見ておく必要があります。”後席も クルーの一員 アサーション”

『左前10時方向、トラフィック‼︎ 航大機、ほぼ同高度』

前席では見えないのに、後席ではよく見えるんです

訓練機で輻輳しているので、近い時は1000ft未満の高度差ですれ違う時があります。TAWSというシステムで計器でも分かるのですが、結局は他機の管制と眼です。あとはカンパニー周波数を使用して、自分の位置と高度、インテンションを共有します。

しばらくすると帯広の市内が見えてきました。
空港周辺と違って建物が多いですね〜 住宅密集地域の周辺は避けましょう。

「くもじい‼︎、飛び立ってから随分経つのに市内にも滑走路があります‼︎、空港の周りにあんなに建物ありましたっけ⁇」

「くもみ、それは、帯広駐屯地のある十勝飛行場じゃよ」
「ピコパッ‼︎」
「帯広駐屯地とは陸上自衛隊の駐屯地で、ヘリコプター隊が所属しています。」
対戦車ヘリコプター、多目的ヘリコプター、観測ヘリが所属していて、よくフライトをしているのが見えます。
プロなオタクじゃないと迷彩塗装のヘリを見つけ出すのは至難の技です。
ちなみに1972年〜1981年には航空大学校もここにありました。

「また、あそこにも滑走路があります‼︎ 帯広にはいくつ滑走路があるんですか⁈」

「あれは自動車メーカーのテストコースじゃ」
帯広は広い土地があること、他と比べて気候が安定していること、山岳や平野など様々なシチュエーションがあることなどから各社のテストコースがあります。
世に出ていない試験車が走っているのをよく目にしますが、上空はあまり低高度で飛行しないようにしています。

そろそろエリアの北西の端なので東に向かいましょう。
上空からはあまり名所が無いので、地上から1枚。

然別湖の湖底線路 ジブリの世界のようで人気らしいですが、上空からは見えません

では足を延ばして、空域の北東端を見てみましょう。

ここは陸別町です。ここまで訓練空域なのですが、空港からかなり遠いこと、山が多く自由に飛びづらいことから1回しか行ったことがありません。

地上には、りくべつ鉄道という素晴らしい廃線の保存車両施設があって、動態保存車がすごくあって、片道6km近くの距離を体験乗車できたり、体験運転ができたり… 危ない危ない、航大ブログでした…

週末には遊びに行ったりしましたねぇ〜

少し行きすぎました。帯広空港が恋しいです… 空港に寄って南側にも行ってみましょう。

大体の景色はこのような風に見えます。読者のあなたはどういう所に注目しますか?

まずは持っている地図にある情報との共通点を探します。川や太い道路は載っていますね‼︎ あと橋なども。ソーラーパネルや山の稜線はあまり分からないので、気をつけます。あと建物も細かくは分からないので、街の大まかな形や川とかとの相対位置から探します。
街を見つけて、分かってもすぐは飛びつかない、先入観を持たないこと‼︎ 複数の根拠から疑いの目を持って考えます。ちなみにこれは橋の位置と川の分岐、運動場から本別だとわかります。

ではここはどこでしょう? 大きな鉄塔のようなものがありますね〜
垂直方向に高い建物はあまり地図に載らないんですよね… そいう時こそ川の分岐や道路の形…
答えは…載せません(笑) (本別から帯広空港に戻っていますが、寄り道してますよ…)

市内を北東方向(幕別付近)から見たところ

「くもじい、あんな所に巨大な時計が‼︎、きっと巨人や宇宙人向けなんですね‼︎」
「くもみ、巨人は東京にいるはずなんだが…」

「あぁ〜あれか‼︎ あれは十勝川温泉の花時計ハナックじゃよ」
北海道といえば泥炭由来のモール温泉が有名だが、十勝川温泉は代表するモール泉でその中心にあるのがこの花時計で直径18m、針だけで10m以上あります。それでもこの上空からだと時刻は分かりません…

上空からだと鉄道も見れます。中の人は特急の時刻が頭に入っていて、大体の当たりをつけて探していたとかいないとか…
線路は地図には載っていますが、列車が走っていないと木に隠れてほぼ見えません…

空港が見えてきました‼︎
おやおや一際大きい機体がファイナルアプローチ中ですね。

旅客機の着陸を上空から見えるのも、フライト訓練している特典ですね。基本的には訓練機よりも旅客機を優先した滑走路運用がされていて、訓練機は各上空のポイントで進路を譲ったり、着陸を待ったりしています。

皆さん、この写真からの情報それだけじゃないですよ‼︎ 航空大学校やグリュック王国と旅客機の着陸方向を見てください。
最初に離陸した時と逆方向になっているんです。滑走路の運用がRunway35からRunway17に変更になっています。
思い込みから逆の滑走路への進入のミスもあります。このように様々な所にアンテナを張ってフライトをしています。

帯広は内陸ですが南に向かうと海もあります。

港が見えてきました。
山側だと山を目標にしてまっすぐ飛べますが、海には目標がありません…
その場合地上を見たり、遠くの雲を見たりします。

では海岸沿いに西へ向かって行きましょう‼︎

「大きいサイコロが砂浜に埋まってます‼︎」

「あれは、トーチカと呼ばれる防御陣地じゃよ」
中に篭ってそこから攻撃をしてたようです。上空から見ると小さく見えますが、行ってみると巨大です。

「あれ⁈ また滑走路があるんですけど… 次はちゃんと滑走路です‼︎」

「ほんとじゃな〜 これは大樹航空公園じゃよ、ホリエモンロケットなどがココから打ち上げられているんじゃよ」
他にもJAXAのヘリの試験や防衛省航空装備研究所の赤外線センサーの無人航空機、火星探査用航空機の研究のための重気球の放球も行われています(こっちも趣味です…)。

滑走路自体は現在1000mで着陸自体は可能ですが、安全マージンを考えると厳しいです。しかし1300mへ延長の計画があるようです。

さて見えてきたのは広尾の港。

日高山脈の南端にあり、これより奥に行くと山脈なので、これより東で訓練を行なっています。
またこの付近は旅客機の進入経路になっているので、旅客機が近づく前に退避というものを行い、衝突回避をします。

ではそろそろ帯広空港に帰りましょう。

空港に帰る際には5つのゲートがあり、そこから滑走路までの経路が決められています。
そのゲート地点では2000ft(600m)、120kt(220km/h)で進入するのでそこに合うように計画しながら向かいます。

『JA010C, over sarabetsu 2000, request landing, full stop』

この後は場周経路に入りますが、そこでは各辺において通過したことを管制に報告します。

『JA010C, turning base』『JA010C, continue approach』

「あんな所に駅とオレンジの列車が‼︎、帯広空港までアクセス楽チンですね」
「帯広空港にはバスでしか行けないハズなんだが…」

「あれは幸福駅じゃよ。愛国から幸福までという切符が流行ったのを親御さんに聞いてみるんじゃ」
国鉄広尾線の駅で1987年に廃線になった中、今も2両の気動車と1両の除雪車が残されていて、空港に着いてまず行く観光地です。

と、まぁ観光している間も、パイロットはひたすらタスクをこなしています。critical eleven minutesというのがパイロット界ではあり、離陸の3分、着陸の8分は事故が起こりやすいフェーズで、特に注意力が求められます。ずっと操縦してて腕と脚が痛いなんて言ってられません…

『JA010C, runway17 cleared to land』

着陸許可が出ました。滑走路の延長線上にいます。ここからはパス・センター・エアスピードを必死に合わせます。少しでも不安を感じたり、スタビライズド(機体の安定)ができなかったら躊躇わずにゴーアラウンドを行います。

旅客機を待たせてしまう時もあります

『JA010C, go around』

航大の隣には空港のターミナルもあります。

ゴーアラウンドをすると場周をもう1周回って着陸します。

『JA010C, runway17 cleared to land』
『JA010C, taxi to CAC, close my flight plan,ありがとうございました』

着陸後は誘導路を通って駐機場に戻ります。その間にもパイロットはやることが色々あります。
駐機後はエンジンを切り、最後に外部点検をして異常がないかを確認します。
これで1フライトが終わりです。1フライトでやることは大体300個くらいは裕にあります。これを覚えて行うのがパイロットです。

私たちが降りた後は整備士さんが次のフライトに向けての整備をしてくれます 感謝です

この後デブリーフィングやフライトログの記入をしたら全て終了です。今日の反省を元に明日はより良いフライトにします。

いかがだったでしょうか? 読み切りお疲れさまでした。
どのような大地を飛んでいるのか?どんなことに気をつけているのか?など少しでも伝われば幸いです。

これから帯広でフライトをする後輩の皆さん。最初はやることが多くて不安になったり、心が折れそうになるかもしれません。
でも50時間も飛べばある程度はできるようになります‼︎ 1人でも迷子にならずに空港に帰ってこれます‼︎
自転車の次に動かした乗り物が飛行機という、中の人でも帯広修了できました。

日高山脈は偉大だよなぁ〜 by私の担当教官

Written by 学生

12月 1st, 2023 at 11:43 am

[68-Ⅲ🐝🐝🐝]えっ⁈ 帯広課程終わってる⁈

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ブログが見れなくて禁断症状が出ていた皆さま、大変ご無沙汰しておりました。
最近ヘリコプターも操縦したくなっている、68-Ⅲの阿部学生です。
えっ⁈ 更新が少なすぎて覚えていないって⁈

しばらくの間、航大ブログがメンテナンス中ということで、更新をできてませんでしたが(メンテナンス前からだろっ‼︎ というお叱りを受けそうですが…💦)、無事に直ったようなので、遅ればせながら筆を取らさせていただきます。
今回も情報量無限大の記事を書きますので許してくださ〜い‼︎

遡ること1ヶ月、10/26に私たち26人全員が帯広課程移行科目進度審査(通称:ファイナルチェック)の実技試験を無事終えました。
なんと、1人も再審査となることなく終えることができました‼︎

私たちを担当していただいた教官方と 胸にはウイングマークが輝いています
我が回期エースの彼が大トリを務めてくれました

そもそも帯広課程で試験って何やるんじゃ〜? っていうところから始めていきましょう。

帯広フライト課程では半年かけて50時間(色々あったらMax60時間まで)のフライトを行うのですが、前半25時間がphaseⅠ、後半25時間がphaseⅡとなっています。
その中でphaseⅠからⅡになる時に初度科目進度審査(通称:プリソロチェック)、帯広課程が終わった時にファイナルチェックを受けます。
それぞれの審査は審査官という資格を持っている、担当教官以外の教官と同乗して行うのですが、この審査を受ける前に、担当教官から試験を受ける技量があるというオッケーを貰う、技量認定という試験の前の試験もあります…

試験だらけじゃん… って思わないでくださいね。パイロットは引退するまで永遠に試験だらけらしいので…

それぞれのチェックを見ていきましょう。

プリソロチェックは名前の通りソロフライトをする前の試験で、1人で空港の場周(周り)を1周する能力があるかどうかを見極められます。
離陸前の準備から1人でやり、離陸後に場周を1周すると接地する寸前で「ゴーアラウンド」とコールされ、もう1周して着陸します。わずか20分程度のフライトですが、かなり緊張します。
この試験に合格しないと1人で操縦することはできません。

ちなみに実技試験以外にも筆記試験もあります。

プリソロチェックが終わると晴れてファーストソロフライトです。

離陸して場周1周して終わりなのですが、こういう時に限って色々起こるものです。いつもは班員含め4人搭乗していますが、ソロでは1人なので重心バランスや加速感が異なるため、いつもとエネルギーコントロールが異なります。まずそれが難しい…
そして頼れる人が一切いないので、まぁ不安になるんです。管制やったかな?、FLAP降ろしたかな?、前と近すぎたかな?、センター降りれるかな?気になったら終わりの始まりです…

詳しくはヒミツですが、色々キモを冷やし、管制官に応援されながらも一生忘れないファーストソロでした…

中の人のファーストソロ 窓を見ると奥が透けていて、1人なのが分かりますね

ちなみに管制との交信での自機のコールサインは「JA010C First solo」と付け、ある程度セパレーションをとった管制をしてもらえたり、着陸後拍手を受けたりします。(誰かは2ndソロで1stソロと言ってしまい2度目の拍手をもらっていました…)

そして気がつくとフライト残時間が5時間となりファイナルチェックがやってきます。

ファイナルチェックも2部構成になっておりまして、まず審査官と口述審査を行います。航空機システム、航空法、航空生理、航空図、範囲は無限大で、雑学王選手権のようです。
そこでオッケーを貰うと担当教官とフライトの最終仕上げを行った後、最後で最強の壁、実技試験です。

実技試験は今までやって来たこと、エアワーク(空中操作)、計器飛行、ゴーアラウンド、野外航法を2日間かけてツメられます。野外航法は1時間前にルートを教えられ、そこから地図やイメフラ、ログと言われる計画表を目にも止まらぬ早さで作り上げます。

これを無事終えてやっと帯広課程は終わったのです。
自家用操縦士相当の技量が帯広課程で身についているはずです…

半年間いろいろありました。

帯広空港以外の空港に冒険をしに行きました。中段だったのでいつもと同じようにタッチアンドゴーをしただけでした。

読者ならどこの空港か一瞬で分かりますよね⁈ 離陸機も分かりますか?

飛んでいたら天候が急変して、降りたら竜巻ができていました。

つむじ風かと思ったらこんなに大きく… ニュースにもなっていました

ファーストソロのお祝いで水をかけました。

自衛隊のように水をかけてみたりしました なおこのバケツは…()

滑走路でエアライン機に手を振ったら、パイロットが振り返してくれて恋をしました。

滑走路脇はライン機のタッチダウンの特等席 なお操縦者は見る余裕がありません…

夜間飛行でいつもと同じ感じで飛んだら、経路がハチャメチャになりました。

夜は格納庫内のライトで浮かび上がった機体が神秘的でした

フライト課程で何をするかは、いずれブログにできたらと思います。
ネタはいっぱいあるので気がついたら更新しているかもしれませんよ…

なんだかんだで終わりました。ハンパなく辛かったはずですが、終われば楽勝CACです。

さらば帯広CAC、また会う日まで。

某朝ドラでも出ていた学校の入口 諸事情によりこれ以外の写真は載せられませんでした…
上空から見るとこんな感じ なお操縦中は見る余裕が…

どんなにつらくても、やまない雨はない。やんだ後には素晴らしい虹がかかる。この彩りを見るために、僕たちは一所懸命に、一心不乱に頑張っているのかもしれない。

Written by 学生

11月 26th, 2023 at 9:22 pm

[68-Ⅲ🐝🐝🐝] B班 航空大学校探検ツアー 〜帯広編〜 その1

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みなさん、こんにちは‼︎
バスで最寄りの中札内村に行って、食材や飲み物を10kg以上買い込んだのは良いが、帰りのバスが土日運休に変わっていたのを知らなくて、バスが無く、泣く泣く寮まで12kmを歩いて帰った、阿部学生です。

相当昔の話にはなりますが、私たち8-Ⅲが宮崎座学生時代に投稿した、宮崎本校の探検ツアーの記事を覚えておりますでしょうか?


その1

[68-Ⅲ???]航空大学校探検ツアー その1


その2

[68-Ⅲ???]航空大学校探検ツアー その2


その3

[68-Ⅲ???]航空大学校探検ツアー その3

今回は第2弾として、私たちの本拠地、そう‼︎ 帯広分校編をお届けしたいと思います。

朝ドラ内でも、机の下に隠れたときに恋が芽生えた食堂や、入校直後にプロシージャを練習したFTD室、寮の部屋などが沢山出て来たので、実際はどんな感じなのか気になる方も多いのではないでしょうか?
(ちなみに航大生はあの朝ドラで航大の知名度が一気に上がったので、すぐに朝ドラを使って色々説明しがちです)

と、前置きはこのくらいにしておいて、では探検に出かけていきましょう‼︎

あれっ、これ帯広分校なの⁈ 朝ドラでは宮崎本校って書いてあったような…

ここが帯広分校の正門です。宮崎本校の時は学生用の裏口がありましたが、帯広はここ1ヶ所なので、外出時もここを使用します。
ちなみに朝ドラでは宮崎本校の正門風景もここでした…
GWには朝ドラの聖地巡礼で記念撮影をしてる方々も見かけました‼︎ ぜひ航大を広めてくださ〜い。

ちなみに校舎に向かって左手を見ると…

この砂利道は、朝ドラで…(n回目)

砂利道が続いています。もう何回目か分かりませんが、朝ドラでは、水島学生が地元に帰る際に同期に別れを告げ空港へ向かった道です。
実際ここを真っ直ぐ進むと、空港まで外周をぐるっと周らないといけないので、9.5km歩く必要があります。(笑)
空港に行く際には反対側へ向かいましょう‼︎

ということは置いておいて、禁断の敷地内に入ってみましょう♪

ここはっ‼︎ 朝ド…(以下略)
リアルでは帯広と書いてあります‼︎

このモニュメント⁈の脇を通ると見えてくるのは…

本庁舎があります 2階建てで、中央部には管制塔のようなものが

くの字に折れ曲がった本庁舎が見えて来ました。なぜこのように曲がっているのか分かりませんが、本庁舎を含め建物内には至る所に曲がり角があります。
ちなみに上にある管制所のような所は宮崎にもあった運管室です。
駐機場から出る際、訓練空域に入出する際に連絡をして、様々な情報をもらう、航大のまさしく管制塔です。

左を見ると本庁舎に繋がった建物が…
これは学生寮です。

宮崎と違い本庁舎に直結なので雨でも濡れる心配はナシ‼︎ 外には洗濯物も干せます(?に要注意)

この正面玄関は職員専用で、入校時しか使わないのですが、今回は特別に入ってみましょう‼︎

玄関を入ると左には受付(総務課)が

ここで外部の人は受付をするらしいです。
また学生の荷物も平日はここに届き、週番(日直みたいな)が寮まで運びます。

正面を見ると…

左右にも上にも行けます。正面にも部屋が2つ…

正面には健康管理室(いわゆる保健室)と分校長室があります。健康や薬の使用についての相談する際はこちらへ‼︎

ではまず右側に進んでいきましょう‼︎

校舎内が真っ暗なのは、週末に撮影してるからです 教官に会いたい方は航大へ入ってくださ〜い

進んでいくとあるのは…FTD室です。
いわゆるフライトシミュレータです。
エアラインにあるようなモーション付きのシミュレータではありませんが、実機でできないような緊急操作をしたり、実機が使えないときに使います。

外見は三菱重工業のMU-2のよう(要検索)ですが、中は実機とほぼ同じ‼︎

今の時期は天候が悪い日も多いので、大人気で予約を取るのが大変です…
余談ですが、FTDの機器の配置は帯広にある機体(G5)とは少し異なっていて、宮崎にある機体(G6)と同じになっています。
そのため初めはこの配置の違いに苦戦します。

FTDは2機あるのですが、MIYAZAKIとOBIHIROと愛称がついています。

ではもっと校舎を奥に進んでいきましょう。

すると一番奥には…

朝d…(以下略)でロスポジした柏木学生がイメトレをしていましたね

体育館が‼︎
ここでは主に体育の授業を行います。

あれっ⁈ フライト学生ってフライトだけじゃないの⁈と驚かれた方もいるでしょうか?
そうなんです、フライトだけじゃなくて、座学や体育などの授業がギュウギュウに詰まっているんです。
体育ではバスケットボールとフットサルを行います。(かなりハードなので翌日には全身筋肉痛です)

さすがは北の大地、この時期、床には大量の…、自然が豊かですねー

私は苦手なので、逃げるように急ぎ足で2階へ向かいましょう。

2階にはこんなトレーニングルームもあります‼︎

私はフライトと体育でお腹がいっぱいですが、使ってる学生もいます

また座学で使う部屋が並んでいます。

主に座学で使う航法教室 フライトはA班とB班で午前と午後なので、基本的には10人強で授業です

他にも教官室や印刷室、運管室などがあり、フライトの際はいろんな部屋を行ったり来たりします。

また逆の端にはブリーフィングルームがあります。

簡易個室になっていて、班ごと(学生3名+教官)に座ります

ここでは航空法73条の2及び航空法施行規則164条の15にある機長の出発前確認を行います。
フライトの約1時間前に集合して、①気象、②搭乗者の重量分布、③航空情報を共有します。
学生の中にはフライト前に既にここで気を落とす人もいるとかいないとか…

本庁舎にいると日曜なのにフライトを思い出すので、学生寮に移動しましょう‼︎

本庁舎と学生寮は繋がっているので、2階にいても1階にいても、そのまま移動できます。
そのため学生は本庁舎でも回期のスリッパで移動します。(宮崎時代にスリッパに色々お絵描きした人は恥ずかしい思いをするので要注意です)

2階を移動するとます見えてくるのが、調理室です。

金夜〜日昼まではご飯が出ないので、外食か自炊をします

…といきたいのですが、長くなってきたので、今回はここまで‼︎
次回は学生寮を紹介します。

私たちフライト学生はフライトができる天気が続く限り毎日フライトをします。
フライトをする度に、自分の無力さに落ち込み、地上で見た理想との差に絶望し、先輩方のように空を1人で飛べるのかと不安になり、永遠に暗闇が続くように感じる日々。
でも夜が去り朝がやってくるように、いつか光が差すと信じて、無我夢中で勉強に励んでいます。
それでも完璧にできないフライト…。1時間、また1時間と近づくソロフライト…
でも暗闇の中でふと空を見上げると、数え切れないほどの星が輝いていました。
暗闇だからこそ星が見え、それに向かって前に進めるのかもしれない。
暗闇にいることを楽しみ、今できる限りのことを全力で頑張らなくちゃ‼︎

暗闇の中で照らされるSR22 1つ上の先輩、8-Ⅱさんがナイトフライトをしていました

Written by 学生

5月 21st, 2023 at 5:30 pm